弘前市立病院

弘前市病院は、青森県弘前市に位置し、中南津軽地域の中核的な医療施設として重要な役割を果たしていました。病院は、弘前市の土手町と駅に近い場所に位置し、地域住民だけでなく、近隣自治体からの患者も受け入れていました。

特筆すべきは、病院の建物が著名な建築家である前川國男によって設計されたことです。前川國男は、日本の近代建築に大きな影響を与えた人物であり、彼の作品である「木村産業研究所」は重要文化財に指定されています。弘前市病院の1階ロビーは、その空間を活かして定期的に音楽会が開催されるなど、地域住民に親しまれる場所となっていました。

病院の沿革は、1958年昭和33年)に厚生連津軽病院弘前市に移管され、弘前市国民保険津軽病院として発足したことから始まります。その後、1971年昭和46年)に弘前市病院に改称されました。長年にわたり、地域医療に貢献してきましたが、2018年(平成30年)10月には、国立病院機構弘前病院との統合が合意され、新たな中核病院を整備する方針が決定しました。

2020年令和2年)2月21日には、新病院の名称が「国立病院機構弘前総合医療センター」に決定したことが、弘前市長によって市議会で発表されました。そして、2022年令和4年)4月1日、弘前市病院は閉院し、その機能を国立病院機構弘前総合医療センターに引き継ぎ、新たなスタートを切りました。

弘前市病院は、救急告示病院および青森県災害拠点病院としての指定を受けており、地域における救急医療および災害医療において重要な役割を担っていました。また、弘前大学専門医養成ネットワークに関する協定病院および基幹型臨床研修病院として、医療人材の育成にも貢献していました。

診療科としては、内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、麻酔科、皮膚科など、幅広い分野をカバーしていました。

交通アクセスは、JR弘前駅から徒歩8分と比較的便利な場所に位置していました。また、弘南バスの土手町循環100円バスやミニバス、城南線、緑ヶ丘線、栄町・浜の町団地・土堂線などの路線バスも利用可能でした。

弘前市病院は、長年にわたり地域医療に貢献してきた病院であり、その閉院は地域住民にとって大きな出来事でした。しかし、その機能は国立病院機構弘前総合医療センターに引き継がれ、新たな病院として地域医療に貢献していくことが期待されています。

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