弥勒寺 (関市)

弥勒寺（みろくじ）

岐阜県関市池尻に位置する弥勒寺は、天台寺門宗に属する寺院で、山号を龍華山と称します。本尊として弥勒菩薩を祀り、地域の人々の信仰を集めています。

歴史

弥勒寺の起源は古代に遡ります。美濃地方の豪族であった身毛津氏の氏寺として建立されたと推定されており、その歴史は非常に古いものです。しかし、時代が下るにつれて廃寺となり、その姿を消していました。現在、この古代寺院の跡は「弥勒寺跡」として国の史跡に指定されています。

近世に入り、弥勒寺は大きな転換期を迎えます。江戸時代前期に、独自の作風を持つ仏像彫刻で知られる円空上人によって再興されたのです。円空は、元禄2年（1689年）に園城寺（三井寺）の末寺として弥勒寺を復興し、この地を拠点に精力的な活動を行いました。円空は元禄8年（1695年）にこの地で入寂し、弥勒寺は円空ゆかりの寺として知られるようになりました。

弥勒寺は、かつて数百体もの円空仏と円空画像が所蔵されていましたが、1920年（大正9年）に火災が発生し、堂宇が焼失してしまいました。この火災により、多くの貴重な文化財が失われました。しかし、その後、篤志家からの寄進や他の場所からの移座などにより、現在では4体の円空仏と十数点の遺墨（血脈など）が残されています。

現在の弥勒寺

現在の弥勒寺は、往時の規模には及ばないものの、円空の足跡を今に伝える貴重な寺院として、多くの人々が訪れています。境内には、円空が彫った仏像や、円空の書が展示されており、円空芸術に触れることができます。また、静かな環境は、訪れる人に心の安らぎを与えてくれます。

関連情報

弥勒寺を訪れる際には、以下の場所も合わせて訪れることをお勧めします。

弥勒寺跡（関市）: 古代の弥勒寺の遺構を見ることができます。
弥勒寺官衙遺跡: 弥勒寺に関連する古代の役所の跡です。
弥勒寺西遺跡: 弥勒寺の西側に位置する遺跡です。
円空入定塚: 円空が亡くなった場所とされる場所です。
関市円空館: 円空の作品や資料を展示する施設です。
円空: 江戸時代の僧侶で、独自の作風を持つ仏像彫刻家です。

弥勒寺は、古代から近世にかけての歴史と、円空という傑出した人物の足跡を伝える、文化的にも歴史的にも重要な寺院です。

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