弥勒寺官衙遺跡

弥勒寺官衙遺跡について

弥勒寺官衙遺跡は、岐阜県関市池尻に位置する古代の官衙関連遺跡で、弥勒寺東遺跡とも呼ばれています。この遺跡は、美濃市大矢田にまたがる「弥勒寺官衙遺跡群」の一部として、国の史跡に指定されています。この遺跡群は、古代の地方行政機関である郡衙（郡の役所）の遺構として非常に重要な意味を持っています。

遺跡の概要

弥勒寺官衙遺跡は、律令制下における古代武儀郡の郡衙の遺構です。1994年から発掘調査が開始され、計8回にわたる調査を経て、2007年に国の史跡に指定されました。この遺跡の特筆すべき点は、文献に登場する郡衙の主要な施設、例えば郡庁院、正倉院、館、厨家などが全て確認できる点で、全国的に見ても非常に珍しい事例です。また、隣接する弥勒寺が7世紀後半に建立されてから、郡衙が奈良時代初頭から平安時代中期にかけて存在し、さらに中世の遺構も重なっている複合[[遺跡]]であることも特徴です。

史跡指定の経緯

この一帯には、弥勒寺跡、弥勒寺西遺跡、池尻大塚古墳、丸山古窯といった関連遺跡が点在しており、弥勒寺遺跡群として継続的に発掘調査が行われています。1959年には、弥勒寺跡と丸山古窯が「弥勒寺跡 附:丸山古窯跡」として国の史跡に指定されました。その後、2007年に弥勒寺官衙遺跡が追加指定され、指定名称が「弥勒寺官衙遺跡群 弥勒寺官衙遺跡 弥勒寺跡 丸山古窯跡」に変更されました。さらに2016年には、池尻大塚古墳が構成史跡に追加され、「弥勒寺官衙遺跡群 弥勒寺官衙遺跡 弥勒寺跡 丸山古窯跡 池尻大塚古墳」と改称されました。

発掘された主な遺構

正倉院: 東西約130メートル、南北約40メートルの範囲に細長い溝で区画され、8棟の正倉が確認されています。
郡庁院: 東西約50メートル、南北約60メートルの掘立柱塀で囲まれ、正殿と東西の脇殿が「品」字形に配置されています。この配置は、従来は国府政庁でのみ確認されていたもので、郡衙における同様の配置の発見は、当時の郡衙の構造に対する常識を覆すものでした。
豪族居宅: 郡衙に携わっていた豪族の居宅跡も確認されています。
評衙: 評衙（郡の政治を行う場所）の遺構も発見されています。

出土遺物

円面硯などの出土遺物の一部は、関市円空館の常設コーナーで展示されており、一般の方も目にすることができます。

まとめ

弥勒寺官衙遺跡は、古代の地方行政を解明する上で非常に重要な遺跡であり、郡衙の具体的な構造や機能を理解する上で貴重な情報を提供しています。周辺の遺跡群と合わせて、古代史を研究する上で欠かせない存在と言えるでしょう。

参考文献

田中弘志『弥勒寺東遺跡Ⅰ-Ⅲ』関市〈関市文化財調査報告30-34〉、2012-2015。

関連項目

弥勒寺 ([[関市)]])
弥勒寺跡
弥勒寺西遺跡
池尻大塚古墳
円空入定塚
関市円空館
円空

外部リンク

* 弥勒寺官衙遺跡群（文化遺産オンライン）

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