弦楽四重奏曲第2番 (ヤナーチェク)

弦楽四重奏曲第2番『ないしょの手紙』

レオシュ・ヤナーチェクが1928年に完成させた弦楽四重奏曲第2番。作曲者自身が「Listy důvěrné（ないしょの手紙）」という副題を添えている。

構成

以下の4楽章から構成される。

1. Andante
2. Adagio
3. Moderato
4. Allegro

作曲の背景

1923年、ボヘミア四重奏団からの依頼で作曲が開始された。弦楽四重奏曲としては珍しく、作曲者自身が副題を付けている。この作品は、ヤナーチェクが長年にわたり精神的な親交を結んだカミラ・ストスロヴァーに触発されて作曲された。カミラはヤナーチェクより40歳も年下の既婚女性であり、ヤナーチェクは彼女に一方的に思いを寄せていたと言われている。「ないしょの手紙」とは、公にできない手紙、つまり恋文を意味する。ヤナーチェクは晩年、カミラと700通にも及ぶ文通を続け、そこに示された親密な関係を音楽で表現しようとした。

作曲者は、この作品について次のように語っている。

「1音1音の陰には、活き活きと力強い、愛すべき君がいる。君の体の香り、君の口付け――いや、君のじゃなかった、僕のだね。僕のすべての音符が君のすべてに口付けしている。君を激しく必要としているんだ――。」

楽曲の特徴

晩年のヤナーチェクの器楽曲に共通する特徴として、伝統的な形式にとらわれない自由な楽曲構成が挙げられる。この作品では、ヴィオラが重要な役割を担っているが、これはカミラ・ストスロヴァーの象徴である。第2楽章には、カミラが自分の息子を産んでくれるのではないかという夢や妄想が描かれている。

カミラ・ストスロヴァーとは

カミラ・ストスロヴァー（Kamila Stösslová、1891年 - 1935年、旧姓ノイマン Neumannová）は、1917年に курорт ルハチョヴィツェでヤナーチェクと出会い、彼の晩年におけるミューズとなった。ヤナーチェクは彼女に心底から恋焦がれていたと言われている。

カミラはヤナーチェクの感情に対し明確な態度を示さなかったが、ヤナーチェクは数々の舞台作品で彼女に触発された役柄を創り出している（『カーチャ・カバノヴァー』のタイトル・ロール、『利口な女狐の物語』の女狐役、『マクロプーロス事件』のエミリア・マルティなど）。その他、合唱曲集『消えた男の日記』、『グラゴル・ミサ』、『シンフォニエッタ』もカミラから霊感を受けたとされる。しかし、彼女に触発された最も有名な作品は、やはり『弦楽四重奏曲第2番』であろう。

これらの作品群は、ヤナーチェクの片思いを物語るものだが、2人は親密な文通を交わしていた。700通にも及ぶ往復書簡は、彼女に対するヤナーチェクの強い執着を物語っている。カミラは常に冷静な態度を崩さなかったが、ヤナーチェクが亡くなった時には彼の傍にいた。

外部リンク

* 弦楽四重奏曲第2番 (ヤナーチェク)の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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