張培萌

張 培萌（Zhang Peimeng）

1987年3月13日生まれ、中国出身の元陸上競技選手。専門は短距離走で、特に100メートル競走と200メートル競走、そして4×100メートルリレーで活躍しました。かつて100メートル競走の中国記録保持者であり、アジア人として史上稀な10秒00という記録を残しています。自己ベストは、100メートルが2013年モスクワ世界選手権でマークした10秒00、200メートルは2013年上海で記録した20秒47です。

キャリアを通じて、2008年の北京オリンピックと2012年のロンドンオリンピックに中国代表として出場。主要な国際大会では、2009年のアジア選手権100メートルで頂点に立ち、2007年のユニバーシアードでは100メートルで銀メダル、4×100メートルリレーで銅メダルを獲得しています。国内では、中国選手権の100メートルと200メートルで優勝経験を持ちます。

経歴の始まり

張培萌は、10代の頃から競技生活を始めました。2004年には国内サーキット大会に出場し、100メートル10秒80、200メートル21秒53といった初期の自己記録をマーク。翌2005年には、ロシアのトゥーラで開催された初の国際競技会に参加し、100メートル10秒53、200メートル21秒10と記録を縮めました。同年の中華人民共和国全国運動会や高校の全国大会でも上位に食い込むなど、頭角を現し始めました。

2006年初頭にはアメリカ合衆国でトレーニングを積み、同年の中国ジュニア選手権200メートルを制覇。北京で行われた世界ジュニア選手権200メートルでは準決勝に進出しました。2007年には中国選手権100メートルで自身初の国内タイトルを獲得。ユニバーシアードでは、100メートルでイギリスのシモン・ウィリアムソンに次ぐ2位に入り銀メダル、さらに4×100メートルリレーで中国代表チームの一員として3位となり銅メダルを手に入れました。同年の上海ゴールデングランプリでは100メートルで10秒27の自己ベストを更新し、China City Games優勝でシーズンを終えました。

記録更新とオリンピックの舞台

2008年5月、北京オリンピックのテスト大会を兼ねた中国陸上オープン100メートルで自己ベストを10秒23まで短縮。さらに6月には、4×100メートルリレーで38秒81という新たな中国記録を樹立しました。そして同年8月、地元開催となる北京オリンピックに2種目で出場。200メートルは予選で姿を消しましたが、4×100メートルリレーでは胡凱、温永毅、陸斌と共に予選を突破。これは、中国代表チームがこの種目で初めてオリンピックの決勝の舞台に立った歴史的な瞬間でした。決勝では第2走者を務めましたが、残念ながら結果は失格となりました。同年の中国選手権100メートルは梁嘉鴻に続く2位でした。

2012年のロンドンオリンピックには、4×100メートルリレーのメンバーとして出場しました。

キャリアのハイライト：2013年

2013年は、張培萌のキャリアにおいて記録的な飛躍を遂げた年となりました。4月27日、国内大会の100メートル決勝で10秒04というタイムを叩き出し優勝。これは2011年に蘇炳添が出した10秒16を上回る、当時の中国新記録でした。さらに5月18日には、上海ゴールデングランプリの200メートルで20秒47をマーク。1996年の韓朝明と2012年の謝震業が保持していた20秒54の中国記録を更新する快挙でした。

この年の最大の挑戦は、8月に開催されたモスクワ世界選手権（世界陸上）でした。100メートルと4×100メートルリレーの2種目に出場。100メートル予選では、自己ベストに並ぶ10秒04を記録して組1着となり、順当に準決勝へ進出しました。翌日の準決勝では、自身の持つ中国記録をさらに0秒04縮める、驚異的な10秒00というタイムをマーク。これはアジア人として極めて稀な記録であり、会場を沸かせました。しかし、同じ組で同タイムを出したフランスのクリストフ・ルメートルにわずかな差（1000分の数秒差）で競り負け、組5着という結果に。タイム順での拾い上げも叶わず、惜しくも決勝進出の夢は叶いませんでした。4×100メートルリレーではアンカーを務めましたが、予選で敗退となりました。

張培萌がモスクワ世界選手権で記録した10秒00は、彼のキャリアにおける最も輝かしい記録の一つであり、中国短距離界のレベルアップを世界に示しました。彼の活躍は、その後の中国スプリンターたちに大きな刺激を与えました。

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