張燮林

張燮林（ちょう しょうりん）

張燮林（Zhāng Xièlín、1940年6月25日生まれ）は、中国の卓球界において重要な地位を築いた選手であり、特に1960年代から1970年代にかけてその名を馳せました。右利きのペンホルダーとして知られる彼は、世界で初めて粒高ラバーを使用した選手の一人として卓球史に名を刻んでいます。

経歴

上海での成長

張は1940年に上海で生まれ、家庭は江蘇省鎮江市に起源を持ちます。幼少期からペンホルダー表ソフトの速攻型として卓球を始めましたが、ある試合で見かけたカットマンの妙技に感銘を受け、そのスタイルに転向しました。1958年には上海汽輪機廠の技術学校に進学すると共に、全中国卓球選手権大会に上海代表として出場を果たしました。

当時、張は家庭から卓球に専念することに反対されていました。長距離の移動や交通費の負担、また安定した仕事が得られる可能性がある中での葛藤があったためです。しかし、1959年に第1回全中国運動会に出場することが決まり、以降は上海のチームに正式に加入することとなりました。

類まれなるラバーとの出会い

張が粒高ラバーを使い始めたのは1959年から1960年にかけてのことで、紅双喜の工場から廃棄予定の不良品ラバーを受け取り、裏返して使用したことがきっかけでした。そのラバーは、後に進化した粒高ラバーよりも粒が低く、彼にとって使いやすい一品であったというのです。

中国代表選手としての活躍

1960年代初め、張は上海チームのエースとなりました。1961年には世界卓球選手権北京大会で男子シングルス3位を獲得し、1963年のプラハ大会では男子ダブルスで優勝を飾ります。特に、当時の日本選手は粒高ラバーの特性に対処できず、これを生かした彼のプレースタイルに苦しめられ、中国の男子団体優勝に貢献しました。

1965年の世界卓球選手権リュブリャナ大会でも素晴らしい成績を収めますが、文化大革命の影響で1971年以降まで国際大会出場が難しくなりました。彼は1971年の名古屋大会に混合ダブルスで出場し、見事復活を遂げ、その際に優勝を成し遂げました。

指導者としての功績

1972年以降は中国女子卓球チームのコーチ及び監督となり、1991年までに世界選手権女子団体で8連覇を達成します。彼の指導の下、中国女子チームは10度の団体優勝を記録しました。その後も中国卓球協会副会長や国家体育総局の役職を歴任し、2001年には卓球の殿堂入りを果たしました。

プレースタイルと影響

張燮林のプレースタイルは、彼の仲間とは異なり、ペンホルダーという特異性を持っていたため、特に日本選手に対してその特性が際立っていました。日本の選手たちは彼の「魔球」と恐れられるカット球に翻弄され、ここに卓球の戦術の変革を促したとも言われています。彼のラバーは当時のカットマンとは異なる戦術を可能にし、日本選手からは手が付けられない存在となっていました。荻村伊智朗もそのプレースタイルを高く評価しており、彼の卓球における影響は今もなお続いています。

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