弾道

弾道について

弾道とは、銃や砲から発射された弾丸が発射点から着弾点まで移動する際の経路を指します。特に、自由落下を伴い、誘導制御されない弾道に焦点を当てています。弾道の形状は、主に空気抵抗の影響を受けながら進行し、ほとんどの場合放物線を描きますが、発射時の速度、角度、弾丸の重量や形状、さらには外部条件である風や空気密度の変化によっても変わることがあります。このような弾道を専門に研究する学問を『弾道学』と呼びます。

また、弾道ミサイルの飛行経路やロケット砲の弾道も同様に弾道と称されますが、これらは推進力を受けながら飛行し、誘導によって操舵させるため、一般的な弾道の理解とは異なる部分があります。例えば、弾道ミサイルの弾頭が地球規模で飛行する際は、高度によって重力の影響が異なり、常に真下に向かうわけではなく、楕円軌道を描くこともあります。

発射角

発射角とは、発射時の弾丸の進行方向が水平面と成す角度を示します。発射角は、その後の弾道に大きな影響を与えます。

曲射と平射の弾道

曲射弾道

曲射弾道は、砲弾が大きな角度で発射されることによって生じる弾道であり、斜めに投射された砲弾は目標に向かって自由落下運動となります。このため、砲弾の着弾速度は発射時の初速とはあまり関係がなく、自由落下速度に近くなるため、着弾までの時間が長くなります。発射角が45度以下で発射された弾道は『擲射弾道』（てきしゃだんどう）と呼ばれ、曲射弾道と平射弾道の中間的な性質を持ちます。

平射弾道

平射弾道では弾道が直線に近く、着弾までの時間が短くなります。このような弾道は『直射』や『低伸弾道』とも称されます。曲射弾道を採用する火砲は一般に曲射砲と呼ばれ、榴弾や迫撃砲のような爆発する砲弾を射出します。一方、平射弾道を取る火砲には戦車砲や銃器が多く、点目標を直接狙う場合に使われます。平射の場合でも銃砲弾は放物線を描きながら進むため、物理的な挙動としては曲射弾道と変わらない側面があります。

射界の分類

高射界と低射界

曲射砲は通常、約45度の発射角で最大射程を持ちますが、硬目標を貫通させるためや、爆破効果の範囲を最適化するために、意図的に45度以上の角度で発射することがあります。これを『高射界射撃』と呼びます。対して、45度以下で発射する場合は『低射界射撃』といい、発射から着弾までの時間があまり長くならないため、空中で受ける弾道の乱れの影響を受けにくい期待があります。低射界射撃において、砲弾の着弾点での加害範囲は最適化されませんが、高射界射撃では加害力が減少する場合が多いです。

弾道低落量の計算

弾道の低落量は、以下の式で求められます。
`弾道低落量 = 1/2 × 重力加速度 × 秒数の2乗 × 空気抵抗の係数`
例えば、初速が750m/sの銃弾の概算低落量も計算可能です。

関連項目

• - 弾道飛行
• - 斜方投射
• - 飛行力学

弾道は兵器の運用において極めて重要な要素であり、その特性を理解することは戦術や戦略の決定に直結します。

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