当山派

当山派の歴史と特徴

当山派（とうざんは）は、平安時代から江戸時代にかけて活動した真言宗系の修験道の一派です。この宗派は金峯山を中心に、三宝院（醍醐寺）を本寺として宗教的活動を展開しました。有名な山岳修行の聖宝によって、9世紀に金峯山が修行の拠点とされ、真言宗の修験者たちはこの地で山岳修行を受け継いでいきました。

平安から鎌倉時代の発展

平安時代の聖宝の活動が基盤となり、鎌倉時代に入ると、金剛峯寺や興福寺、法隆寺といった真言宗の修験者たちが集まり、大峯山中の小笹（現奈良県天川村洞川地区）を拠点に新たな結社が形成されました。この集まりは「当山方大峯正大先達衆」と名乗り、毎年全国から集まる修験者たちの指導を行い、さまざまな宗教行事を通じて活動を行いました。

室町時代に入ると、当山派に属する寺院は36に達し、「当山三十六正大先達衆」と呼ばれるようになりました。しかし、時代が進むにつれて、天台宗系の本山派との対立が激化。特に聖宝が関与する三宝院との関係が深まることになります。

慶長年間の対立と影響

慶長年間には袈裟を巡る争いで、当山派と本山派の対立が顕在化しました。この際、当山派は三宝院の義演を指導者として擁立し、彼の影響を通じて徳川家康への働きかけを行いました。1613年には江戸幕府が両派に対し修験道に関する法度を出し、一方の派が独占的な地位を占めることを禁止しました。この決定は当山派にとって有利であり、三宝院を法頭として再び擁立し、組織の整備を進める契機となりました。

江戸時代の整備と発展

その後、当山派は結成された集団から宗派として確立され、江戸時代において12の寺院がその組織に属しました。さらに、元禄12年（1699年）には三宝院の意向により、大和国鳳閣寺の住職が「諸国総袈裟頭」に任じられ、戒定院を鳳閣寺の別院として改め、当山派の統制を行いました。このように、当山派は力を増し、活動の幅を広げていきました。

明治維新以降の変化

しかし、明治維新後の神仏分離令や1872年の修験宗廃止令によって、当山派は真言宗に強制的に統合される運命を辿りました。このように、当山派の歴史は、日本の宗教、特に修験道の発展と深く結びついています。

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