本山派

本山派の歴史と発展

本山派（ほんざんは）は、平安時代から江戸時代にかけて存在した天台宗系の修験道の一派です。この流派は、熊野三山を中心に活動しており、聖護院を本寺として重要な役割を果たしました。修験道とは、山岳信仰と仏教が結びついた宗教的な実践を指し、特に自然信仰の強い日本においては独自の発展を遂げました。

起源と初期の発展

園城寺では、古くから熊野地方での山岳修行が盛んであり、特に寛治4年（1090年）には、白河上皇が熊野詣を行い、その際に園城寺の僧・増誉が先導役を務めました。彼はその後、熊野三山検校に任命され、修験者たちからの尊敬を集めました。鎌倉時代末期には、増誉に関連する聖護院の覚助法親王が両者の役職を兼任し、熊野三山と大峯山にいる天台宗系の修験者たちを統制することになります。

組織の形成と拡大

室町時代後期に入ると、近衛家出身の門跡である道興が本山派の組織化を一層進めました。本山派は、地域単位で「霞」という名称の修験者統制システムを結成し、徐々にその勢力を拡大させていきました。この過程で、真言宗系の当山派との対立が激化しました。特に、慶長年間に袈裟を巡って両派の対立が顕在化し、慶長18年（1613年）には江戸幕府から修験道法度が出されました。この法度により、一派の独占が否定され、両派間の規則が設けられました。

江戸時代の勢力と特徴

修験道法度は、本山派にとって不利なものではありましたが、それでも江戸時代を通じて本山派は優勢な立場を保持しました。また、聖護院を中心に院家、先達、年行事、直末院、准年行事、同行といった階層的な組織が整備され、修験道の実践の中で彼らの位置付けが明確化されていきました。

近代の変遷

しかし、明治維新後に施行された神仏分離令や明治5年（1872年）の修験宗廃止令によって、本山派は天台宗に強制的に統合されることとなりました。このような状況に対して聖護院は反発を示し続けました。結果的に、第二次世界大戦後には本山修験宗として再独立を果たすことになります。

まとめ

本山派の歴史は、宗教的な実践の中での権力闘争や地域的な組織化、さらには国家の政策に振り回されながらも、独自の文化と伝統を築いてきたことを示唆しています。こうした流派の変遷を通じて、修験道の多様性とその社会的影響の深さを理解することができるでしょう。

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