彩虹眷村

彩虹眷村（レインボービレッジ）とは

彩虹眷村（さいこうけんそん）は、台湾中部の都市、台中市にある芸術公園です。その名の通り、村全体が鮮やかな色彩の壁画で覆われており、「彩虹村」や「レインボー・ビレッジ」とも呼ばれています。元々は、国共内戦後に移り住んだ兵士とその家族のための集住地域（眷村）でしたが、ある退役軍人による壁画がきっかけで、アートスポットとして生まれ変わりました。

彩虹眷村の歴史

1960年頃、国共内戦で故郷を失った人々が暮らすために、この地に眷村が建設されました。しかし、2000年前後になると、再開発のために取り壊される計画が持ち上がります。そんな中、香港出身の退役軍人、黄永阜（こうえいふ）さんが、2008年に自宅の壁や地面に絵を描き始めました。その絵は、素朴で可愛らしいタッチで、見る人の心を捉えました。そのアートとしての価値が認められ、保存運動が起こり、最終的に眷村一帯は「彩虹芸術公園」として保存されることになったのです。

芸術公園として

現在、彩虹眷村には、壁画を描いた黄永阜さんとその妻だけが住んでいます。2014年に芸術公園として開園してからは、国内外から多くの観光客が訪れるようになりました。その人気は年々高まり、2016年には年間125万人、2017年には200万人を超える人が訪れる、台湾有数の観光名所となっています。彩虹眷村は、その色彩豊かな風景がSNS映えすることから、「台湾のインスタ映えスポット」としても有名です。

彩虹眷村の誕生秘話

彩虹眷村は、台中市南屯区の春安里に位置しています。この地域には、かつて複数の眷村がありましたが、彩虹眷村は公営ではなく、国防部や個人の土地の上に建てられていました。初期には9人の老兵が6棟の家を建てて住み始めましたが、都市再開発計画で立ち退きを迫られることになります。黄永阜さんは、当初は養老院に入居する予定でしたが、考えを改め、1979年にこの地に家を購入し、住み続けました。そして、2008年に突如壁画を描き始め、そのアートが学生たちの目に留まり、保存運動へと発展しました。

保存運動と公園化

嶺東科技大学や弘光科技大学の学生たちは、黄さんの描く壁画に魅了され、署名活動を行い、台中市政府に眷村の保存を訴えました。この運動は「彩虹村救助活動」として広がり、多くの人々の心を動かしました。その結果、台中市は、建物の文化財としての価値は低いと判断しましたが、所有者の同意を得て「彩虹芸術公園」として保存することを決定しました。現在では、壁画が描かれた6棟の建物と周辺の公園が保存され、一般公開されています。

国際的な観光地へ

彩虹眷村は、その独特な魅力から、世界中のメディアに取り上げられ、多くの観光客が訪れる国際的な観光地となりました。その人気の高さは、「癒しスポット」や「宮崎駿の世界観」とも評されるほどです。イギリスの旅行サイトでは「台湾のインスタ映えスポット」に選ばれ、日本の大手旅行代理店でも「台湾で最も撮影したいスポット」に選ばれるなど、SNSでの人気は台北101をも凌ぐほどです。また、英語圏のガイドブックでも「世界の秘密の奇跡」の一つとして紹介されています。

トラブルと現状

観光客の増加に伴い、周辺の駐車場に公衆トイレを増設するなど、対応に追われています。しかし、グッズ販売やウェブサイト管理を請け負う会社と、壁画制作者の黄永阜さんの間で、著作権や制作費をめぐるトラブルも発生しています。2022年には、黄さんとその妻が眷村を離れ、現在は他の場所に住んでいることが報じられました。

周辺の眷村

彩虹眷村の周辺には、かつて台貿五村、干城六村、馬祖二村という3つの眷村がありました。これらの眷村は、1950年代後半から1960年代にかけて建設され、多くの兵士とその家族が暮らしていました。しかし、再開発のために2000年代前半に取り壊され、住民は市内の別の場所に移り住みました。現在では、彩虹眷村のみが残り、当時の面影を伝えています。

アクセス

彩虹眷村へは、台中市内のバスを利用してアクセスできます。複数の路線が運行しており、台中駅や高鉄台中駅から比較的簡単にアクセスできます。

まとめ

彩虹眷村は、一人の退役軍人が描いた壁画がきっかけで、アートスポットとして生まれ変わった場所です。そのカラフルな風景は、多くの人々を魅了し、台湾を代表する観光地となりました。現在も、黄さんの作品は人々の心を癒し、訪れる人々に希望を与え続けています。写真映えも抜群なので、台湾を訪れる際にはぜひ立ち寄ってみてください。

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