彼女たちの流儀

『彼女たちの流儀』

『彼女たちの流儀』（かのじょたちのりゅうぎ）は、2006年6月23日に130cmより発売された18禁恋愛アドベンチャーゲームです。略称は『カノギ』。

概要

130cmの第4作目にあたる本作は、学園の演劇部を舞台に、20日間の青春群像劇を吸血鬼伝説のミステリーを交えて描いた恋愛アドベンチャーゲームです。攻略可能なヒロインは6人。

予約特典として、小梅けいと、桜沢いづみ、橘由宇、つたえゆず、なつめえりなど人気イラストレーターによる描き下ろしイラストや塗り絵調原画を収録した冊子『彼女たちの祝儀』（かのじょたちのしゅうぎ）と、ゲーム主題歌「Red -reduction division-」のフルバージョンおよびリミックス（両方とも後にfripSideのアルバム『the very best of fripSide 2002-2006』に収録）が収録されたCDが付属しました。

さらに、2006年9月には原画集『彼女たちの流儀 ビジュアルファンブック』(ISBN 4-7730-0330-8)と、録り下ろし楽曲も収録されたサウンドトラックアルバム『彼女たちの響』（かのじょたちのひびき）も発売。同年12月開催の「コミックマーケット71」では、ギャグテイストの番外編ドラマCD『ケータイ刑事 尾瀬道櫻子の事件簿 〜緑のメガネ殺人事件〜 The Green Glasses Murder Case』も販売され、翌2007年2月2日には店頭販売も開始されました。

なお、2006年9月1日にFlyingShine黒から発売されたアダルトゲーム『彼女たちの禁忌』（かのじょたちのタブー）とは無関係です。

あらすじ

物語は、現代日本の地方都市を舞台に、旧華族の血筋を受け継ぐ大富豪「白銀」家に生まれた少年「胡太郎」を中心に展開します。広大な屋敷で姉二人と暮らしていた胡太郎は、両親の離婚を機に母親に引き取られ生家を離れます。しかし5年後、母の死をきっかけに白銀家へと戻ることになります。

白銀家で胡太郎を待ち受けていたのは、実の姉である鳥羽莉と朱音でした。しかし、5年もの歳月が経っているにも関わらず、姉たちの姿は全く変わっていませんでした。さらに、双子の妹である鳥羽莉の態度は、以前とは異なり冷たくそっけないものでした。

転校先の学園生活にも慣れてきたある日、胡太郎は演劇部の部長を務める鳥羽莉から、文化祭で上演する劇『月の箱庭』のヒロイン役を演じてほしいと相談されます。最初は断る胡太郎でしたが、鳥羽莉が自分に興味を示してくれたのではないかと感じ、その誘いを受けることにします。しかし、その練習中に鳥羽莉の正体が吸血鬼であることを知り、物語は大きく動き始めます。

登場人物

メインキャラクター

兎月 胡太郎（とげつ こたろう）
声 - 奥川久美子
本作の主人公。学園の2年生。少女のような美しい顔立ちで、異性には興味があるものの、恋愛経験は皆無。
姉の鳥羽莉に劣等感を抱いており、機嫌が悪くなると「バカ」と言う癖がある。
演劇経験はないが、鳥羽莉に誘われ『月の箱庭』のヒロイン「死せる月の国の女王セレス」を演じることとなる。

白銀 鳥羽莉（しろがね とばり）
声 - 涼森ちさと
白銀姉妹の妹。学園の3年生で演劇部部長。真面目で責任感が強く、演技力も高い。
5年前はよく笑う普通の子供だったが、現在は感情の起伏が乏しい。
イギリス人の祖母の血筋により、美しい金髪を持つ。
劇中では主人公の青年吸血鬼「レミューリア」を演じる。

白銀 朱音（しろがね あかね）
声 - あさり☆
鳥羽莉の双子の姉。学園の2年生。かつては病弱だったが、現在は元気。
鳥羽莉とは対照的に、呑気で自由奔放な性格。
難しい本を読むのが好き。

花葉 千佐都（かよう ちさと）
声 - 櫻レオナ
胡太郎たちの幼馴染。学園では胡太郎のクラス委員長を務める。
真面目で世話好きだが、料理は苦手。
実家は合気道の道場。

由希 せせり（ゆき せせり）
声 - 森川陽子
学園の1年生で演劇部員。ボーイッシュな性格で自分のことをボクと呼ぶ。
明るく前向きだが天然ボケ。
胡太郎に憧れており、彼を「王子様」だと思っている。

秋名 涼月（あきな すずつき）
声 - 紬叶慧
せせりの親友で同じく1年生の演劇部員。ひねくれた性格で不機嫌そうにしていることが多い。
胡太郎を嫌っており、「ウサギ」と呼んで厳しく当たっている。

弓曳 火乃香（ゆみひき ほのか）
声 - 春野萌
白銀家の家令兼メイド。知的で頼りになる存在。
実は10代で、イギリスの大学を飛び級で卒業した才女。
大排気量のバイクを乗り回す一方で、可愛い人形を集めるのが好き。

サブキャラクター

柴原 五百里（しばはら いおり）
胡太郎、朱音、千佐都のクラスメイト。ハンサムで女性経験豊富。

尾瀬道 櫻子（おぜみち さくらこ）
演劇部員の2年生。おしゃべりで自己主張が強い。

杉浦 佳推（すぎうら かすい）
尾瀬道の親友で演劇部員の2年生。おとなしいが毒舌家。

山内 聖児（やまうち せいじ）
演劇部の副部長。大柄で頼りになる。

丹波 文雄（たんば ふみお）
演劇部員の1年生。自信家でマイペース。

白銀 将太郎（しろがね しょうたろう）
胡太郎、鳥羽莉、朱音の父親。物語開始時には故人。

白銀 満月（しろがね みつき）
鳥羽莉、朱音の伯母で吸血鬼。

槍持 蛍（そうじ けい）
火乃香の父親で、白銀家の使用人だった。

ナイト
白銀家で飼われている黒猫。

劇中劇『月の箱庭』

本作の物語の中で、胡太郎たちが演じる劇中劇『月の箱庭』は、中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、青年吸血鬼「レミューリア」と女王「セレス」の愛を描いた物語です。人間たちに迫害されてきた吸血鬼のレミューリアは、女王セレスが治める「死せる月の国」にたどり着き、そこで束の間の安息を得ます。しかし、人間たちは「死せる月」の力に脅かされており、その対策として占星術師アルクラが「死せる月の国」へと向かいます。

文化祭での劇の上演シーンは、鳥羽莉と朱音の攻略ルートのみに存在し、他の4人のヒロインのルートでは、胡太郎のセリフの中で語られるのみです。また、鳥羽莉ルートでは胡太郎と鳥羽莉のアドリブ合戦が繰り広げられ、本来のストーリーは朱音ルートでしか見ることができません。

吸血鬼

本作のヒロインである鳥羽莉と朱音、そして二人の伯母である満月は吸血鬼です。白銀家の女性は代々吸血鬼となる宿命を持って生まれてきます。彼女たちは転化という現象により吸血鬼となり、身体能力が向上し、傷を負ってもすぐに治癒するようになります。

吸血鬼は生きていくために人間の血を必要とし、それは食事（食餌）と呼ばれています。食餌は、通常の吸血の他に、人間との性行為でも行うことができます。吸血をしない状態が続くと理性を失い、人間を襲ってしまう危険性があります。白銀家では吸血鬼となるのは女性だけで、男性はなりません。

吸血鬼は日本では厚生労働省によって監視されており、火乃香はその管理官の一人です。

サウンドトラック

本作の音楽はU-maとSatoshi Yaginumaが担当し、主題歌は全曲fripSide（第1期ボーカル、nao）が担当しています。

オープニングテーマ:「Red -reduction division-」
エンディングテーマ:「true eternity」
ドラマCD主題歌:「dream myself!」

その他

正式なタイトルは『彼女たちの流儀』ですが、ロゴタイプ右下の英字表記「Their Styles」がサブタイトルと誤解されることが多いです。
予約特典のCDには、主題歌のフルバージョンとリミックスのインストゥルメンタルバージョンも収録されています。
サントラCDに収録されている楽曲にはアレンジバージョンも存在し、オリジナルバージョンはゲーム内でしか聞くことができません。
番外編ドラマCDは、BS-iで放映された「ケータイ刑事」シリーズのパロディとなっています。
鳥羽莉は、みやま零の同人サークル『StrayMoon』の作品『不機嫌な姉』にも登場します。
シルバーブリッツのカードゲーム『リセ』にも参戦しています。

外部リンク

* 彼女たちの流儀

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