征東等処行中書省

征東等処行中書省について

征東等処行中書省（せいとうとうしょ-こうちゅうしょしょう）、別名征東行省は、元王朝が高麗を支配下に置いた後、政治及び軍事的な統括を目的として設立された機関です。高麗王を従属させたこの機関は、特に日本に対する軍事行動の前線として機能することから、征日本行省とも呼ばれました。

この機関は、1280年に日本への侵攻を目的として設立されました。具体的には、元朝の支配下にある高麗と直轄領である遼東を管轄し、侵攻のための準備や徴発を行う役割を持っていました。しかし、翌年の1281年に行われた侵攻（弘安の役）が成功しなかったことから、その後すぐに征東等処行中書省は解散されました。

その後、モンゴル帝国の大ハーン、クビライの再遠征計画に従い、1287年には再度設置されました。この際、高麗王が次官の左丞相に就任し、元の高官が長官として右丞相に任命されました。こうした役職の配置により、高麗に対する元の支配が再び強化されました。

征東等処行中書省は、最終的には日本への第三回の侵攻は実現しなかったものの、常設組織として位置づけられました。これにより、高麗地区の直接統治を担う機関となり、高麗王がこの機関の長官に就任するのが一般的となりました。1290年頃には、行省が常設化され、地方における税賦は中央に納められ、同時に高麗の行政や統治を行う役割を果たしました。

歴史的には、高麗は第23代高宗の1258年に元の属国となり、その後元朝の支配が強化されました。しかし、恭愍王の時代になり1356年頃には、元の衰退と共に高麗は独立を回復しました。高麗の王朝は、元の行政官によって廃位させられた3代の高麗王を含む、元の支配下に置かれた時期があり、多くの政治的変動があったことが分かります。

現在、征東等処行中書省の役割やその影響を考慮すると、元朝の高麗支配における重要な歴史的機関であったことがはっきりとしています。この機関を通じて高麗の政治と社会構造がどのように変化していったのかは、理解を深める上で重要なテーマの一つです。

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