待ち焦がれて

映画『待ち焦がれて』解説

『待ち焦がれて』（Persuasion）は、1995年に制作されたイギリス、アメリカ、フランス合作のテレビ映画です。ロジャー・ミッシェルが監督を務め、アマンダ・ルートとキアラン・ハインズが主演を務めています。ジェイン・オースティンが1818年に発表した小説『説得』を原作としています。

1995年4月にイギリスのBBC Twoで放送され、その後アメリカ合衆国で劇場公開されました。日本では劇場公開はされませんでしたが、『待ち焦がれて』というタイトルでビデオソフトが発売された後、『ジェイン・オースティンの説得』と改題されてDVDが発売されました。

ストーリー

物語の舞台は1814年、イングランド南西部のサマセット。エリオット准男爵の27歳の次女アン・エリオットは、教養豊かで聡明な女性です。しかし、8年前に母親代わりのラッセル夫人の助言によって別れさせられた海軍士官、フレデリック・ウェントワース大佐のことを忘れられず、独身のまま静かに暮らしていました。

エリオット家には跡を継ぐ息子がおらず、父と長女エリザベスの浪費によって家計は逼迫していました。そのため、一家は邸宅であるケリンチ館をクロフト提督夫妻に貸し出すことにします。父とエリザベス、そして父の再婚相手の座を狙うクレイ夫人はバースへと引っ越しますが、アンは近隣に住む三女メアリーの世話をするためにマスグローヴ家へ滞在することになります。

クロフト提督夫人の弟であるフレデリック・ウェントワースは、逞しく快活な人物として描かれています。かつては身分が低く財産もありませんでしたが、ナポレオン戦争中に財を成し、大佐に昇進していました。休暇で戻ったウェントワースは、マスグローヴ家の招待に応じて姿を現し、マスグローヴ家の娘たち、ヘンリエッタとルイーザをたちまち魅了します。アンはウェントワースとの再会に激しく動揺しますが、8年前と変わらず彼への恋心を抱いていることに気づきます。ウェントワースもまた、アンとの別離の真相と、その後のアンの苦悩を知り、心を揺さぶられます。こうして、マスグローヴ家の人々とアン、ウェントワースの奇妙な関係が始まるのです。

ある日、彼らはウェントワースの旧友を訪ねてライム・リージスの町へ出かけます。そこで偶然出会った紳士が、アンに熱い視線を送ります。彼はエリオット家の財産を継ぐことになるウィリアム・エリオットでした。

キャスト

アン・エリオット: アマンダ・ルート
フレデリック・ウェントワース大佐: キアラン・ハインズ
ラッセル夫人: スーザン・フリートウッド
ウォルター・エリオット卿: コリン・レッドグレイヴ - アンの父。
クロフト夫人: フィオナ・ショウ
クロフト提督: ジョン・ウッドヴァイン
エリザベス: フィービー・ニコルズ - アンの姉。
ウィリアム・エリオット: サミュエル・ウェスト
チャールズ・マスグローヴ: サイモン・ラッセル・ビール

映画の特徴

この映画は、過去の決断に縛られながらも、再び訪れた愛の可能性に揺れ動くアンの心情を丁寧に描いています。アマンダ・ルートとキアラン・ハインズの演技が、キャラクターの繊細な感情を表現しています。また、19世紀初頭のイギリスの風景や衣装が美しく再現されており、視覚的にも楽しめる作品です。

外部リンク

ジェイン・オースティンの説得 - allcinema
待ち焦がれて - KINENOTE
Persuasion - IMDb（英語）

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