後套進攻作戦

後套進攻作戦

後套進攻作戦（こうとうしんこうさくせん）は、日中戦争の最中、1940年1月から3月にかけて実施された日本の駐蒙軍による綏遠省後套地区（五原地方）への軍事作戦です。この作戦は、最初に八号作戦と秘匿名されており、別名として五原作戦でも知られています。

作戦の背景

1939年12月、日本軍と中国軍の緊張が高まる中、傅作義将軍が指揮する第35軍は、包頭に駐屯する騎兵集団を襲撃しました。しかし、その攻撃は日本軍により撃退されました。1940年1月に入り、傅作義軍は包頭を再度攻撃する計画を立て、その活動を活発化させました。これに対抗すべく、日本の駐蒙軍は上級司令部に対して後套地区に対する攻勢を命じました。

五原は、駐蒙軍にとって攻撃したい地域であり、作戦の一環としてその攻略が期待されました。大本営はこれを許可し、駐蒙軍は中国軍を撃退した後、それらの地域から撤退するよう命じられました。しかし、指揮官の間で意見が分かれ、永久占領を望む者と、それに反対する者の間での対立が浮き彫りになりました。

交戦兵力

作戦における日本側の主要な部隊は駐蒙軍であり、その指揮官は岡部直三郎中将、参謀長は田中新一少将でした。また、主要部隊として第26師団（黒田重徳中将）、騎兵集団（小島吉蔵中将）が参加しました。

対する中国軍は第8戦区の傅作義副司令長官が指揮し、第35軍や第81軍、騎兵第6軍などが編成されていました。

作戦の経過

第一次後套進攻作戦

1940年1月28日、日本軍は行動に移り、三方から五原を目指しました。主力は黄河を渡り、中国軍と交戦し、2月2日までに約5,000名を撃破しました。最終的に、2月3日には五原に侵入します。

日本軍はその後、臨河や善覇を占領しつつ、敵の退路を閉ざしました。日本軍の戦果は目覚ましく、2月中旬からは撤退を開始しました。戦闘による損失は、戦死160名、戦傷461名、そして534名が凍傷のため入院しました。

五原特務機関の全滅

作戦の初期段階から、田中新一参謀長は五原を永久に占領する必要性を説いていましたが、岡部軍司令官はそれに否定的でした。だが、田中は独自に特務機関を五原に派遣し、内蒙軍や地元の非正規軍を組織し、治安を確保する計画を進めました。

2月7日、岡部はついに内蒙軍を五原に留め置くことを認め、特務機関の配置が決定されました。3月1日、日本軍が撤退したとき、特務機関は内紛により孤立し、振り返る間もなく傅作義軍の攻撃に遭いました。

3月20日、特務機関は全滅し、残された部隊は退却しました。直後、日本軍は新たに五原を奪取すべく行動に出ましたが、既に特務機関の統制が失われていました。

結果

日本軍は、特務機関が全滅する前に五原に到達したものの、中国軍はすでに撤退しており、戦局は日本側にとって厳しいものでした。最終的に、岡部軍司令官は田中新一参謀長を軽い懲戒処分にし、その後の責任を追及しました。

この作戦は、日中戦争中の日本軍の軍事活動の一部として重要な意味を持ち、戦争の流れに影響を与えました。

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