綏遠省

綏遠省の概要

綏遠省（すいえんしょう）は、中華民国で設立された省で、歴史的には内モンゴル自治区の一部に関連しています。この地域は、現在の内モンゴル自治区のフフホト市、包頭市、バヤンノール市、オルドス市、ウランチャブ市に相当します。省の北にはモンゴル地方が広がり、南は山西省や陝西省と接しています。さらに、東は察哈爾省、西は寧夏省に隣接しているため、地理的に重要な位置を占めていました。

沿革の経緯

綏遠省は清代の漠南蒙古の一部を形成し、漠南地域の軍事的管理を行うために設置された綏遠将軍が拠点としていました。中華民国の成立後、1914年に北京政府は綏遠特別区を設立し、新たに綏遠都督（特別区域の行政統括者）が任命されました。彼は帰綏県に公署を構え、各県や盟の行政事務をつかさどりました。

その後、特別区域は綏遠省へと再編され、1928年に国民政府は正式に綏遠省を発足させました。初代省政府の主席には徐永昌が就任し、1936年には省の行政権を巡って、モンゴル族と省政府との間に対立が生じました。この対立は、モンゴル族の自治独立を求める動きが日本軍と連携して武装蜂起に至るという事態も引き起こし、これを「綏遠事件」と呼びます。

日中戦争が勃発した1937年には、綏遠省の大部分が日本軍に占領され、戦後の1945年には日本の敗戦により省政府の支配が再開されましたが、内乱が続きました。最終的には1949年に中華人民共和国が成立し、国民政府の施政権は完全に失われることとなります。

行政区画

綏遠省設立当時、行政区域は非常に広範囲に及び、最大で3市、20県、17旗を管轄していました。主要な都市には、帰綏市、包頭市、陝壩市があり、各県には安北県、涼城県、五原県、興和県などが含まれています。また、旗に関しては察哈爾右翼やウラン察布盟といったさまざまな地域が存在しました。

歴代の指導者

綏遠省の歴代指導者は、北京政府の下で様々な人が任命されました。例えば、1912年には堃岫が綏遠将軍として、1914年からは潘矩楹が綏遠都督として行政を行っていました。さらに省政府が設立されると、徐永昌や傅作義、董其武といった指導者が続きました。

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綏遠省の歴史と背景は、中華民国の行政区分とも深い関係があります。今日の内モンゴル自治区やその周辺地域の政治的、社会的な状況にも影響を与えた重要な歴史的一幕であると言えるでしょう。

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