後脛骨筋

後脛骨筋の解剖学と機能

後脛骨筋（こうけいこつきん、英: Tibialis posterior muscle）は、人間の下肢に位置する筋肉で、主に足関節の底屈と内反に寄与しています。この筋肉は体重を支える重要な役割を担っており、歩行や走行時の安定性を保つ助けとなります。

起始と停止

後脛骨筋は、脛骨と腓骨の近接した面、さらには骨間膜から起始します。この筋肉は、解剖学的に複雑な経路をたどって、内果の後ろに位置する内果溝を滑液鞘に包まれて下降します。そして、腱は足底に達するまでに、載距突起と舟状骨粗面の間を通ります。最終的に、腱は二つの索に分かれ、そのうちの一つは内側の太い索で、舟状骨粗面に付着します。他方の外側の索は、3つの楔状骨（距骨を除く他の足根骨にも）に停止します。

機能

後脛骨筋の主な機能は、足首を底屈させ、足の内側を持ち上げることです。これにより、歩行や走行時に足を適切に動かすことが可能となり、バランスを保つ役割を果たします。また、この筋肉は足のアーチをサポートし、適切な荷重分配を実現します。特に、平坦な地面や不整地を歩く際には、その重要性が際立ちます。

障害とその影響

15〜20%の人々は、舟状骨の内側に「外脛骨」という過剰骨を持っています。この外脛骨は、激しい運動を行う際に、後脛骨筋の腱に干渉することがあります。この干渉が原因で痛みが発生することがあり、その状態は「有痛性外脛骨障害」と呼ばれます。

有痛性外脛骨障害は、特にアスリートや激しい運動を行う人々に見られることがあります。症状は、運動中または運動後に感じる足首や内くるぶし周辺の疼痛や不快感として現れ、この障害が進行すると、筋肉の機能が低下し、姿勢や動作に影響を及ぼすことがあります。

予防と治療

後脛骨筋の機能を維持するためには、適切なストレッチと筋力トレーニングが重要です。特に、足首周りの筋肉を強化し、柔軟性を向上させる運動は、怪我のリスクを軽減します。また、適切な靴を選ぶことも重要で、特に運動する際には、足の形状やアーチに合った靴を選ぶことで負担を軽減できます。

治療方法としては、痛みが発生している場合は、アイシングや休養、物理療法などが効果的です。重度な症状であれば、専門的な医療の介入が必要となります。運動療法やリハビリテーションを通じて筋力や柔軟性を回復させることができ、再発防止につながります。

まとめ

後脛骨筋は下肢の機能において欠かせない役割を果たす筋肉であり、その理解を深めることは、運動能力の向上や怪我の予防において重要です。適切なケアやトレーニングを行い、健康的な足元を維持しましょう。

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