後藤昭

後藤昭：日本の刑事訴訟法をリードする法学者

後藤昭氏は、1950年生まれの日本の著名な法学者であり、刑事訴訟法を専門としています。東京で生まれ育ち、東京都立新宿高等学校を経て、1969年、名門の一橋大学法学部に入学しました。在学中に旧司法試験に合格するという快挙を成し遂げ、弁護士としてのキャリアも積んでいます。

弁護士活動後、1981年には千葉大学助手として研究活動に専念。1983年には東京大学大学院法学政治学研究科博士課程を修了し、法学博士の学位を取得しました。その博士論文は「刑事控訴立法史の研究―控訴審構造論の再検討のために―」と題され、刑事訴訟法における深い造詣を示しています。指導教授には、一橋大学では刑事訴訟法講座初代教授である鴨良弼氏、東京大学大学院では松尾浩也氏と平野龍一氏という、いずれも日本の法曹界における重鎮が名を連ねます。

後藤氏のキャリアは、学界における重要な役割を担うものでした。一橋大学法科大学院の設立に大きく貢献し、2004年には初代大学院法学研究科法務専攻長（法科大学院長）に就任。そのリーダーシップにより、日本の法曹界の未来を担う人材育成に貢献しました。後藤氏の指導学生からは、現在も第一線で活躍する法学者を輩出しています。

一橋大学での教授職の後、青山学院大学教授も務め、両大学の名誉教授の称号を得ています。学界への貢献は教授職に留まりません。日本刑法学会理事、法と心理学会理事長、法科大学院協会常務理事、臨床法学教育学会理事長など、数々の学会において要職を歴任し、日本の法学界の発展に多大な貢献を果たしました。

後藤氏の研究分野は、刑事訴訟法の中でも特に公設弁護人制度と上訴制度に焦点を当てています。これらの制度は、日本の司法制度の公平性と効率性を確保するために極めて重要であり、後藤氏の研究はこれらの制度の改善に大きな影響を与えてきました。

その成果は、数々の著書や論文に結実しています。単著として『伝聞法則に強くなる』『わたしたちと裁判（新版）』『捜査法の論理』『刑事控訴立法史の研究』などがあり、共著も多数出版しています。これらの著作は、学生や研究者だけでなく、弁護士や裁判官など、法曹関係者からも高く評価されています。また、「裁判員制度に伴う上訴の構想」「公的弁護制度」「予備的訴因と訴訟条件」など、重要な論文も多数発表し、日本の刑事訴訟法の議論に貢献しています。

後藤氏の経歴を振り返ると、一貫して日本の法曹界の発展に貢献してきたことが分かります。弁護士としての経験、大学教授としての教育、そして数々の学会活動を通じ、後藤氏は日本の司法制度の向上に多大な貢献をしてきたのです。その功績は、日本の法学界に大きな足跡を残し、未来の法学者たちに多大な影響を与え続けることでしょう。さらに、後藤氏は、参議院法務委員会調査室客員研究員、東京都立府中病院倫理委員会委員、第一東京弁護士会懲戒委員会委員、検察の在り方検討会議委員、法務省法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会委員、法務省法務・検察行政刷新会議委員など、政府機関においても重要な役割を担い、実践的な視点から日本の法制度改革に貢献しています。これらの多様な経験から生まれた知見は、後藤氏の研究活動や教育活動に深みを与え、より実践的で現実的な法学研究を可能にしています。

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