後藤田三朗

後藤田三朗：聴覚障害と写真芸術の融合

後藤田三朗（ごとうだ みつお、1956年7月5日 - 2012年4月1日）は、日本の著名な写真家で、また「手話の日」の提唱者としても知られています。彼は岡山県倉敷市に生まれ、幼少期の薬害により聴覚を失うという困難を抱えつつも、独自の視点と感性で芸術の道を歩みました。

聴覚障害との向き合い

後藤田は3歳の時、薬害によって聴覚を失いましたが、その経験が彼の作品や活動に大きな影響を与えました。彼は多摩芸術学園の写真科（現在の多摩美術大学の芸術部写真科）を1980年に卒業した後、写真という表現方法を通じて、自身の感情や見つめ方を世界に問いかけていきました。

写真家としてのキャリア

彼のキャリアの中で、初の個展「写真機無音」を1983年に東京、名古屋、大阪、広島、岡山で開催。この展覧会は、後藤田自身の視覚的な探求を示す重要な機会となり、その後も数多くの個展を国内外で開催しました。特に、1989年に発表した写真集『盗と夢と写・1977～1988』が大きな評価を受け、彼は第39回日本写真協会新人賞を獲得しました。

後藤田の作品には常にユーモアとウィットがあり、トリミングを行わずにフレーミングにこだわるところが特徴です。彼の視点は、見る人に新しい気付きを与え、物事の本質を考えさせる力を持っています。

職業写真家としての活動

後藤田は国内外で多数の展覧会を開催し、写真機を通じて自らのメッセージを発信してきました。キャノンサロンや大阪万国博ホール、東京都美術館など、さまざまな会場で彼の作品が展示され、多くの観客を魅了しました。また、アムステルダムフォトギャラリーやシャルロア美術館、さらにはクンストミュージアム美術館など、海外においても作品が評価されています。

社会活動と活動の広がり

後藤田は聴覚障害者としての経験を生かし、手話の普及活動にも力を注ぎました。彼が提唱した「手話の日」は5月5日であり、これは手話が両手の5本の指を用いることに由来しています。この活動は、聴覚障害に対する理解を深めるための非常に重要な取り組みとして、多くの人々に認識されることとなりました。

彼の遺産

後藤田三朗は2012年4月1日に死去しましたが、彼が残した写真や社会活動の影響は今なお生き続けています。彼の作品を通じて、視覚的なメッセージや社会人へのメッセージは、これからも多くの人々に届くことでしょう。彼のユーモアのある視点や、聴覚障害者としての経験は、我々に「見ることの重要性」「表現することの自由」を再認識させてくれます。

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