後藤賢豊

後藤賢豊：六角氏を支えた勇将、その悲劇

後藤賢豊（ごとう かたとよ）は、戦国時代に近江国で活躍した武将で、六角氏の有力な家臣でした。後藤但馬守の子として生まれ、主君である六角義賢（ろっかく よしかた）から「賢」の字を授かり、賢豊と名乗るようになりました。彼は、同じく六角氏の重臣であった進藤貞治・進藤賢盛と共に「六角氏の両藤」と称され、その武勇と知略で主君を支えました。

六角氏の重鎮としての活躍

賢豊は、六角義賢に従い、浅井氏との戦いなどで数々の武功を立てました。1559年には、蒲生氏と共に恩賞条奉行を務め、その手腕を発揮しました。1562年には、義賢の上洛に随行し、大徳寺の警護を担当するなど、主君からの信頼も厚かったことが伺えます。

観音寺騒動と悲劇的な最期

しかし、1562年に義賢が嫡男である六角義治（ろっかく よしはる）に家督を譲ると、状況は一変します。大きな勢力を持つ賢豊に対し、義治は次第に敵愾心を抱くようになり、配下の種村氏と建部氏に賢豊暗殺を命じます。両名は主君を諫めたものの、義治は聞き入れず、1563年、賢豊は観音寺城に登城した際に、長男と共に暗殺されてしまいました。この事件は後に「観音寺騒動」と呼ばれるようになり、六角氏の衰退を招く大きなきっかけとなりました。

六角氏衰退の端緒

賢豊の死は、六角氏にとって大きな痛手となりました。後藤氏に縁のある多くの武将たちが、この事件をきっかけに六角氏に反旗を翻し、六角氏の勢力は急速に衰退していきます。後藤家の家督は、賢豊の次男である後藤高治（ごとう たかはる）が継ぐことになります。

後藤賢豊は、六角氏の全盛期を支えた名将でしたが、主君の交代とそれに伴う内部抗争によって、悲劇的な最期を遂げました。彼の死は、六角氏の没落を加速させる象徴的な出来事として、歴史に刻まれています。晩年、後藤賢豊が拠点とした館は、現在の滋賀県東近江市羽田町にあり、滋賀県指定の史跡としてその歴史を今に伝えています。

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