後見

後見制度とは

後見制度は、民法に基づき、判断能力が十分でない方を保護・支援する制度です。具体的には、法律行為や財産管理など、生活全般におけるサポートを行います。後見制度には、大きく分けて「未成年後見」と「成年後見」の2種類があります。

未成年後見

未成年後見は、親権者がいない、または親権者が財産管理権を持たない未成年者を対象とした制度です。親権者に代わり、未成年者の財産管理や身上監護を行います。未成年後見が開始されるのは、親権を行う者がいない場合、または親権者が管理権を有しない場合です。

成年後見

成年後見は、精神上の障害により判断能力が著しく低下している成年の方を対象とした制度です。家庭裁判所の審判によって開始され、成年後見人が選任されます。後見開始の審判は、本人、配偶者、親族などが家庭裁判所に請求できます。対象となるのは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方です。成年後見人には、財産管理や身上監護の権限が与えられ、ご本人の意思を尊重しながら、生活をサポートします。

未成年者に対する成年後見の適用

原則として成年後見は成人が対象ですが、例外的に未成年者も対象となる場合があります。例えば、知的障害を持つ未成年者が成年になる際、親権者がいなくなる場合に、成年後見の開始を申し立てるケースです。これにより、成年後見人は、成年後も継続してご本人の支援を行うことができます。

後見の事務

後見人は、ご本人の財産を管理し、生活を支援するために様々な事務を行います。具体的には、以下のものが挙げられます。

財産調査と目録作成
ご本人の意思尊重と身上配慮
財産管理と代理行為
預貯金通帳の保管と手続き
病院の入退院に関する契約

後見人は、これらの事務を適切に行う義務を負います。ただし、後見人の事務は法律行為に限られ、介護などの事実行為は含まれません。

後見の監督

後見人の職務は、家庭裁判所や後見監督人によって監督されます。後見監督人は、後見人の事務を監督し、不正行為がないかなどをチェックします。また、ご本人の居住用不動産の処分や、後見人の報酬決定には、家庭裁判所の許可が必要です。利益相反行為が発生した場合には、家庭裁判所が特別代理人を選任します。

後見の終了

後見は、ご本人の判断能力が回復した場合や、ご本人が亡くなられた場合などに終了します。後見が終了した際には、後見人は財産目録を作成し、管理していた財産をご本人または相続人に引き継ぐ必要があります。また、後見期間中の収支を計算し、家庭裁判所に報告しなければなりません。

後見制度における注意点

後見人は、ご本人の意思を尊重し、常に最善の利益を考慮して行動する必要があります。
後見人は、財産管理に関する責任を負い、不正行為があった場合には損害賠償責任を負う可能性があります。
後見監督人は、後見人の職務を厳正に監督し、ご本人の権利擁護に努める必要があります。

後見制度は、判断能力が不十分な方を保護するための重要な制度です。制度の利用を検討する際には、専門家（弁護士、司法書士など）に相談し、十分な情報を得ることが重要です。

もう一度検索