後遺障害

後遺障害：交通事故・労災による身体への永続的影響

後遺障害とは、怪我や病気の治療後も残る身体的障害のことです。交通事故や労働災害によって生じた後遺障害に対しては、それぞれ自賠責保険や労働者災害補償保険といった制度が、被害者の補償を目的として存在します。これらの制度において、後遺障害の程度は等級に分類され、等級に応じて保険金が支払われます。

自賠責保険と後遺障害

自動車損害賠償保障法では、後遺障害とその等級が明確に定義されています。自賠責保険から支払われる保険金の額は、この等級に基づいて決定されます。重要なのは、自賠責保険における後遺障害等級の基準は、身体障害者手帳の基準とは異なる点です。後遺障害の認定は、専門医による診断書などを基に行われます。

労災保険と後遺障害

労働者災害補償保険法では、「障害」という用語が使われますが、これは自賠責保険における「後遺障害」とほぼ同様の概念です。しかし、法的取り扱い、申請手続き、担当機関などは、自賠責保険とは異なります。労災保険による後遺障害の認定は、労働基準監督署などが行います。

後遺障害等級における過去の性差別問題

過去には、後遺障害等級の基準に男女間の不公平が存在していました。特に、外見上の醜状（容姿の損傷）に関する等級においては、同じ程度の障害でも、男性と女性で等級が異なっていました。例えば、外貌の醜状では男性が14級、女性が12級とされていました。これは男性にとって不利な差別的な扱いです。

2010年、京都地方裁判所は、この等級基準における男女差別の違憲性を認めました。この判決を受け、国は控訴を断念し、判決が確定しました。

等級基準の改正と残る課題

この判決を受け、2011年には労働者災害補償保険法施行規則と自動車損害賠償保障法施行令が改正されました。改正により、外見上の醜状に関する等級基準は、男女差を解消する形でより詳細に分類されました。さらに、改正は2010年6月10日（判決確定日）まで遡及適用されました。

しかし、現在でも、一部の資料や、弁護士等の専門家が関与しない示談交渉においては、古い、男女差別的な基準が用いられる可能性があります。そのため、交通事故や労災によって後遺障害を負った場合、専門家（弁護士など）に相談することが重要です。専門家は、最新の法律や基準に基づいて適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。特に、示談交渉においては、古い基準に基づいた不当な提示を受けないよう注意が必要です。交通事故に特化した弁護士に相談することも有効です。

まとめ

後遺障害は、交通事故や労災によって生じる深刻な問題です。自賠責保険や労災保険は、被害者への補償制度として存在しますが、制度の理解、等級基準の変更、そして残る性差別問題への注意が必要です。専門家への相談を通じて、自身の権利を適切に保護することが重要です。 後遺障害等級に関する情報は、常に最新のものを入手し、正確な理解を持つように心がけましょう。 不当な扱いを受けないためにも、専門家の助言を仰ぐことを強くお勧めします。

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