徐倫、GUCCIで飛ぶ

『徐倫、GUCCIで飛ぶ』は、荒木飛呂彦が手掛けた短編漫画で、集英社のファッション雑誌『SPUR』2013年2月号の別冊付録として掲載されました。この作品は、荒木氏とグッチとのコラボレーション第2弾であり、前作『岸辺露伴 グッチへ行く』に続き、ファッションと漫画の世界観が融合した独特の作品となっています。

物語の主人公は、『ジョジョの奇妙な冒険』Part6の主人公である空条徐倫です。彼女を中心に、Part5に登場するブローノ・ブチャラティとレオーネ・アバッキオも登場しますが、彼らの設定は本編とは大きく異なっています。物語は、徐倫が母親の服を身に着け、日本へ向かう途中の空港で、政府関係者を名乗る男たちに拘束されるという展開から始まります。彼らは、空港から逃げ出したユニコーンについて徐倫に尋ねますが、徐倫はユニコーンを庇い、物語は幻想的な方向へ進んでいきます。

この作品の特徴の一つとして、登場人物が着用している衣装が全てグッチの服である点が挙げられます。衣装は「GUCCI 2013年クルーズコレクション」の新作が使用され、ファッション誌ならではのこだわりが感じられます。『SPUR』2月号の表紙では、徐倫に扮したモデルがスティッキー・フィンガーズのジッパーを模したシールを剥がすと、荒木飛呂彦による大判イラストが現れるという仕掛けもあり、読者を楽しませる工夫が凝らされています。

物語は、17歳の女子高生である空条徐倫が、母親の形見の服を着て親戚のいる日本へ向かうところから始まります。空港で拘束された徐倫は、逃げ出したユニコーンを隠していると疑われ、ブチャラティとアバッキオに追及されます。しかし、徐倫はユニコーンをかばい、その際にスカーフに隠れていたユニコーンが自ら姿を現します。この不思議な現象を、徐倫は母親の服が見せた夢だと解釈し、「新しい希望」を感じ取ります。物語のラストは、徐倫の「この夢は…メッセージ――そして『力（エネルギー）』」という言葉で締めくくられ、読者に余韻を残します。

登場人物の設定は、本編とは大きく異なります。空条徐倫は、17歳の女子高生として描かれ、ブチャラティとアバッキオは政府関係者という設定になっています。Part5ではギャングでスタンド使いである彼らですが、本作ではスタンドは使用しません。また、ユニコーンの元の飼い主と思われる「団長」という人物が登場しますが、こちらはPart5に登場するポルポに容姿が似ていますが、民間人という設定で、ブチャラティ達より立場が低いようです。ユニコーンは、青い体色と黄色い目を持つ、仔馬ほどの大きさの生物として描かれており、その姿はプラスチックの人形のようです。物語の中では、徐倫を助けるために巨大な白馬の姿に変身します。

『徐倫、GUCCIで飛ぶ』は、荒木飛呂彦の独特な世界観とグッチのファッションが融合した、魅力的な短編作品です。ジョジョファンはもちろん、ファッションに興味がある読者も楽しめる内容となっています。

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