岸辺露伴

岸辺露伴（きしべろはん、Rohan Kishibe）は、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』に登場する、人気漫画家です。彼は同作品のスピンオフシリーズ『岸辺露伴は動かない』の主人公でもあります。血液型はB型。

人物像

杜王町に住む、1979年生まれの20歳（初登場時、1999年時点）の独身男性。B型。代表作は16歳で『週刊少年ジャンプ』にて連載を開始したデビュー作『ピンクダークの少年』。以前は東京都に住んでいましたが、「東京は騒がしく、仕事に集中できない」という理由で故郷の杜王町に戻りました。

トレードマークはギザギザのヘアバンドと、ペン先を模した耳飾り。性格は非常に強引で自己中心的。「自分が一番」と考えており、作品のリアリティを何よりも重視します。創作のためには、奇抜な行動も厭いません。自身の怪我すら作品のネタにするほどです。漫画を描く理由は「読んでもらうため」であり、金銭や名声には興味がないと公言しています。

下書きなしで直接ペンを入れ、驚異的な画力で毎週19ページの連載をこなします。編集者から軽く見られたくないという理由で、原稿の書き溜めはしません。人間関係を嫌い、アシスタントも雇いません。

デビュー作『ピンクダークの少年』は、サス[[ペンス]]・ホラー要素が強く、ファンからの評価は賛否両論です。海外でも出版されていますが、アメリカでは未刊行です。本人は「アメリカ人はセンスが悪いから自分の漫画を理解できない」と述べています。

公式プロフィールでは、尊敬する人物はこせきこうじ、大切なものは家族と友人としていますが、これは読者向けの回答であり、本心では誰のことも見下しています。ただし、広瀬康一に対しては友情と尊敬の念を抱いています。

一癖も二癖もある人物ですが、自身の正義に基づいた倫理観は持ち合わせています。身内の危機には逃げ出すことなく、敵のスタンド使いとも戦います。「この岸辺露伴が最も好きな事のひとつは、自分で強いと思ってるやつにNOと断ってやる事だ」という言葉は、彼の不遜な性格を象徴しています。しかし、大柳賢を見逃したり、康一を素直に褒めたりするなど、相手によっては敬意を払うこともあります。外出先ではファンにサインを求められ、快く応じています。

Part4ではグッチの腕時計を愛用し、愛車は日産・300ZX。花粉症持ちでもあります。

『岸辺露伴は動かない -六壁坂-』や『岸辺露伴ルーヴルへ行く』では27歳として登場しますが、一部のエピソードを除き、年齢や年代は明確にされていません。

作中での活躍

子供の頃は杜王町に住んでいました。1983年8月13日、杉本一家惨殺事件に遭遇しますが、杉本鈴美によって助けられ、唯一の生存者となります。その後、家族と共に東京へ引っ越し、1995年に漫画家デビュー。1999年2月に杜王町へ戻ります。この時、杉本家殺人事件のことは忘れていました。

引越しと同時期にスタンド使いとなり、1999年5月、広瀬康一の記憶を読み、スタンドの存在を知ります。スタンドを漫画の題材として利用しようと、康一から漫画のネタを搾取しようとします。康一の異変に気づいた東方仗助、虹村億泰と戦うことになります。仗助を逃がさないために億泰を操り殺しかけるなど、行き過ぎた行動に出ますが、仗助に倒されます。この時の怪我が回復するまで、『ピンクダークの少年』は休載となります。

杜王町を探索中に、杉本鈴美の幽霊と出会い、自分が鈴美に助けられていたことを思い出します。仗助たちの友人、矢安宮重清が吉良吉影に殺害されたことから、仗助らと共に吉良を追うことを決意します。

吉良吉廣が送り込んだ大柳賢と戦い、スタンド能力「ヘブンズ・ドアー」を奪われますが、知恵と能力で勝利します。仗助にチンチロリンで賭け事を挑まれますが、仗助のイカサマが原因で自宅が火事になり、700万円の修理費を支払うことになります。その後、仗助と共に噴上裕也のスタンド「ハイウェイ・スター」に襲われますが、仗助に助けられます。

自宅の修理を依頼した乙雅三が吉良吉廣の刺客だったことから、スタンド「チープ・トリック」に取り憑かれますが、康一と鈴美の協力により撃破します。その後、川尻早人に接触し、吉良の正体を突き止めますが、バイツァ・ダストにより爆死します。しかし、時間が巻き戻ったことで、死を回避。吉良死亡後、鈴美を見送ります。

アニメ版のラストシーンでは、億泰が露伴が万引きで逮捕されたと発言しますが、詳細や真偽は不明です。

Part5（2001年）では、康一にイタリア語を教えるために「ヘブンズ・ドアー」を使用しています。

Part6（2011年）では、メイド・イン・ヘブンによる時間の加速の中でも漫画を描き続けており、他の漫画家が仕事ができない中で、締め切りを守っています。

Part9（2023年）では、ジョディオたちがダイヤを盗みに入った豪邸の持ち主として登場します。

『岸辺露伴は動かない』

『岸辺露伴は動かない』では、第四部本編とは設定が異なる場合があります。

『岸辺露伴ルーヴルへ行く』では、高校時代に出会った藤倉奈々瀬から「この世で最も黒く、最も邪悪な絵」があることを聞かされています。この時点でスタンド能力を持っています。

『エピソード#16 懺悔室』では、怪我で休載中にイタリアへ取材旅行に行き、悪霊に取り憑かれた男の人生を取材しています。

『エピソード#02 六壁坂』では27歳。取材のために山を買って破産し、康一の家に転がり込みます。以後の短編は、この出来事を引き継いでいます。

『岸辺露伴ルーヴルへ行く』では、祖父母について言及があります。担当編集者は貝森稔と泉京香。『六壁坂』以降は、「バキン」という犬を飼っています。

本編以外での登場

小説版『The Book』では、『ピンクダークの少年』はグロテスクな描写があるものの、スリルと個性的なキャラクターが魅力と評されています。2000年の時点で3部が完結し、4部が開始されています。露伴の頭の中には9部までのストーリーが完成しているという設定です。

文庫版の番外編『オインゴとボインゴ兄弟大冒険』のあとがきでは、岸辺露伴による論評形式で内容が絶賛されています。しかし、その漫画がスタンド「トト神」による自動筆記だと知ると、酷評に転じます。

『岸辺露伴は動かない』の一部のエピソードは、原作が露伴、作画が荒木飛呂彦という設定です。画集『JOJO-A-GOGO!!』では、「僕が荒木くんをスタンドで本にしたようなものだ」と語っています。

実在の『週刊少年ジャンプ』の月例新人漫画賞「第103回ホップ☆ステップ賞」で審査員を務めたこともあります。投稿作品に対して厳しい評価をしており、批評コメントも辛辣でした。

短編小説集『岸辺露伴は叫ばない』では、複数の作者によって露伴が描写されています。

コラボノベライズ『JORGE JOESTAR』では、2012年の杜王町で漫画家をしています。記憶喪失の少女、杉本玲美と同居していますが、その屋敷は殺人事件の現場となります。吉良吉影と敵対し、ジョージの捜査を助けます。

和月伸宏の漫画『武装錬金』の主人公、武藤カズキは岸辺露伴のファンという設定です。一方、露伴も『六壁坂』で『るろうに剣心』の単行本を所持しています。

大場つぐみ原作、小畑健作画の漫画『バクマン。』の登場人物、新妻エイジは岸辺露伴の影響を受けているとされています。

青山剛昌の漫画『名[[探偵コナン]]』101巻のコラムで、岸辺露伴が探偵として取り上げられています。

ヘブンズ・ドアー

【破壊力 - D / スピード - B / 射程距離 - B / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - A】

岸辺露伴のスタンド。対象を「本」にする能力を持ちます。能力を受けた者は身体の一部がページとなり、そのページには対象の記憶が記されています。ページを読むことで、相手の記憶や情報を知ることができます。また、ページに情報を書き込むことで、相手の行動や記憶を制御することも可能です。ページを破り取ると、相手はその部分の記憶を失います。

動物や幽霊、露伴自身にも有効。文字を書き込むことで、語学力を身につけさせたり、物理的に不可能な行動をさせたりできます。作中で頻繁に能力がアップデートされています。

初期状態では、波長が合う者に生原稿を見せることで発動。その後、空中に指で『ピンクダークの少年』の主人公の顔を描いて見せることで発動するようになりました。大柳賢との対決からは人型のヴィジョンが現れ、接触や飛び技で命令を書き込めるようになります。ロボット状の姿は、『岸辺露伴は動かない』や『岸辺露伴ルーヴルへ行く』で見られます。

「無敵」と評されることもありますが、能力が通用しない相手や状況もあります。「ボーイ・II・マン」には命令を書き換えられ、「ハイウェイ・スター」には生命力を吸われて命令を書き込めなくなります。「チープ・トリック」に使用した際は、効果が跳ね返ってきました。また、激怒して目の前の状況を認識できない相手には発動できません。破壊力は低く、殴り合いはできません。

露伴自身の過去の記憶や運命は読めません。死にゆく人間に使用した場合は、肉体に存在する「人生の体験」が消えていく様子が見え、完全に消えると相手は死亡します。死者を本にすると、生前の記憶は読めるものの死後のことは読めない場合と（杉本鈴美）、死の文字だけで埋め尽くされている場合があります。また、死者を蘇生させることはできません。

スピンオフ作品

スピンオフ作品では、Part4本編と設定が異なる場合があります。荒木は「Part4とPart8の杜王町は別の町」「ジョジョリオンは一種のパラレルワールド」と説明しています。

『岸辺露伴は動かない』

岸辺露伴を主人公としたスピンオフ作品。一部のエピソードは原作が露伴、作画が荒木飛呂彦という設定になっています。2017年以降は、複数の作者による短編小説も執筆されています。

その他

現実のコラボレーションも行われています。

岸辺露伴ルーヴルへ行く：ルーヴル美術館とFuturopolis社によるバンド・デシネプロジェクト。フルカラー123ページ。
岸辺露伴グッチへ行く：ファッションブランド『GUCCI』のブランド設立90周年と荒木飛呂彦の執筆30周年を記念した短編。原画と漫画に描かれたコレクションを展示する『岸辺露伴新宿へ行く』展も開催されました。

名前と作者との関係

名前の「露伴」は小説家の幸田露伴から、「岸辺」は地名から取られています。『岸辺露伴ルーヴルへ行く』では「『露』ははかなきもの、『伴』はともにすごすという意味」と解説されています。

スタンド名の由来は、ボブ・ディランの楽曲「天国への扉」。

荒木にとって、露伴は取材に行かせやすい便利なキャラクターであると同時に、「漫画家としての理想の姿」でもあります。映画『ナインスゲート』の登場人物も参考にされています。荒木は「岸辺露伴とイメージを重ねられるのが悩み」と語っています。

2012年の原画展では、「荒木飛呂彦と岸辺露伴の対談」という形式の記事が掲載されました。集英社新書の荒木の著書の帯には、露伴のイラストが描き下ろされています。

岸辺露伴を演じた人物

声優

神谷浩史
ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル
ジョジョの奇妙な冒険アイズオブヘブン
櫻井孝宏
テレビアニメ版
OVA『岸辺露伴は動かない』
ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトルR

俳優

高橋一生
テレビドラマ『岸辺露伴は動かない』
映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』
長尾謙杜
映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』（青年期）

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