徐昭佩

徐昭佩の生涯と伝説

徐昭佩（じょ しょうはい、? - 549年）は、南朝梁の元帝蕭繹の妃として、その人生は波乱に満ちたものでした。彼女は東海郡郯県出身で、侍中・信武将軍である徐緄の娘として生まれました。

徐昭佩は天監16年（517年）12月に湘東王妃となり、そこで元帝の寵愛を受けることになります。彼女は武烈世子蕭方等と益昌公主蕭含貞の二人を産みました。しかし、悲劇的なことに、貞恵世子蕭方諸の母である王氏が元帝の寵愛を独占していたため、徐妃は複雑な立場に置かれます。王氏が亡くなると、元帝はその責任を徐妃に転嫁し、徐妃は不遇な境遇に追いやられました。

徐妃は一度、病を患うようになり、自身の運命がさらに暗転します。太清3年（549年）5月には、元帝から罪を問われ、自ら命を絶つように迫られることになります。追い詰められた彼女は井戸に身を投げ、命を終えるのです。徐妃は江陵の瓦官寺に葬られ、その生涯は終わりました。

元帝は徐妃に対し、彼女の淫行を『金楼子』という作品に記すことまでしました。このことからも、元帝との関係が如何に複雑であったかが伺えます。

徐妃の伝説

徐妃に関する伝説はいくつか残されています。その中には、彼女の容姿が醜く、元帝が彼女のもとに訪れることは2、3年に1度しかなかったとも言われています。また、元帝が片眼であったため、徐妃は彼が来る時には片方の顔を化粧して待っていたものの、元帝がその姿を見て激怒し、部屋を出て行ったというエピソードもあります。

さらに、徐妃は酒を好んでおり、時には過度に飲み過ぎて私室に戻った元帝の衣服の中に吐いてしまうこともありました。このような行動は彼女が持つ嫌悪感や抑圧された感情を代弁しているかのようです。加えて、彼女は荊州の後堂瑤光寺にいる智遠道人と密通していたとの噂も立ち、嫉妬心が強いことでも知られていました。

元帝の寵愛を受けない他の妾に対しては、酒を共にすることで仲良くなっていく様子が見られ、元帝の子を妊娠した者に対しては手を下すこともあったと言われます。特に元帝の側近である曁季江が美しかったことから、彼女と姦通することもあり、曁季江は徐妃の老いらくの情に困惑し、彼女との関係に苦しんでいたとも聞かれています。

また、賀徽という名の美しい男性を普賢尼寺に招待し、詩の贈答を通じて親密な関係を築いたとも言われ、彼女の生涯は単なる側室としての枠を超えた複雑な人間模様を描いています。

これらの伝説や逸話は、徐昭佩の複雑な感情や彼女が生きた時代の社会状況を映し出しており、彼女の運命を考える上で欠かせない要素となっています。

もう一度検索