東海郡

東海郡（とうかいぐん）

東海郡は、中国にかつて存在した郡であり、その歴史は秦代にまで遡ります。漢代から唐代にかけて、現在の山東省臨沂市、江蘇省北部、そして安徽省天長市にまたがる地域に設置されていました。

歴史

東海郡は、秦代の東晦郡を前身としています。

前漢時代、紀元前202年に韓信が楚王となると、東海郡は楚国に属しました。しかし、翌年には韓信が廃位され、楚国は分割。東海郡は楚王劉交の楚国に属することになりました。紀元前154年、東海郡は楚国から切り離され、漢の直轄領となります。この出来事が、呉楚七国の乱の引き金となりました。

東海郡は徐州に属し、最盛期には38県を管轄しました。管轄地域は、郯、蘭陵、襄賁、下邳、良成、平曲、戚、朐、開陽、費、利成、海西、蘭祺、繒、南成、山郷、建郷、即丘、祝其、臨沂、厚丘、容丘、東安、合郷、承、建陽、曲陽、司吾、于郷、平曲（侯国）、都陽、陰平、郚郷、武陽、新陽、建陵、昌慮、都平といった地域を含みます。

王莽の時代には沂平郡と改称されましたが、後漢の成立とともに東海郡の名前に戻されました。後漢時代には、郯、蘭陵、戚、朐、襄賁、昌慮、承、陰平、利城、合郷、祝其、厚丘、贛楡の13県を管轄しました。

西晋時代には12県を管轄していましたが、永嘉の乱後、東海郡は後趙、前燕、前秦、後燕、南燕といった国々に占拠されました。東晋の安帝の時代に劉裕が北伐を行い南燕を滅ぼすと、再び東海郡が置かれることとなりました。

南朝宋の時代、明帝の時に淮北を北魏に奪われると、贛楡県に青州が僑置されました。この時期の東海郡は、襄賁と贛楡の2県のみを管轄していました。

南朝斉の時代には、南東海郡と北東海郡が置かれました。南東海郡は南徐州に属し、郯、祝其、朐、利城、西隰、丹徒、武進の7県を管轄。北東海郡は冀州に属し、襄賁、僮、下邳、厚丘、曲城の5県を管轄しました。

東魏が南朝梁の北海郡を奪うと、東海郡が置かれ、海州に属しました。この時の東海郡は、贛楡、安流、広饒、下密の4県を管轄しました。

隋の時代、583年に郡制が廃止されると、東海郡も廃止され、海州に編入されました。しかし、607年に州が廃止されて郡が置かれると、海州は東海郡と改称されました。この時、東海郡は朐山、東海、漣水、沭陽、懐仁の5県を管轄しました。

唐の時代、621年に東海郡は海州と改められ、海州総管府が置かれました。742年には再び東海郡と改称されましたが、758年には海州に戻され、東海郡の名前は歴史から姿を消しました。

このように、東海郡は時代の変遷とともにその名前や管轄地域を変えながら、中国の歴史を歩んできたのです。

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