従事

従事（じゅうじ）とは：刺史を支えた幕僚秘書

従事（じゅうじ）は、古代中国の漢代に初めて置かれた、刺史（しし）に属する幕僚、現代でいう秘書のような役割を担った役職です。刺史は地方行政を監督する重要な官職であり、その活動を補佐するために従事が置かれました。

語源と初期の役割

「従事」という言葉は、元々は『詩経』に見られるように、「仕事に従事する」という意味合いで使われていました。漢代において役職名として用いられるようになり、刺史を補佐する属官として、別駕従事史や治中従事史などが存在しました。これらの従事は、刺史の命令を受け、それぞれの職務を遂行していました。

刺史の権限拡大と従事の増設

後漢末期になると、刺史の権限はますます強大になり、それに伴い、従事の役割も多様化しました。文学に通じた者を任命する文学従事や、教育を奨励する勧学従事などが新たに設けられ、刺史の活動をより専門的にサポートする体制が整えられました。これにより、従事は単なる事務処理だけでなく、文化や教育といった分野においても重要な役割を担うようになりました。

北魏から隋への変遷

北魏の孝文帝の時代には、地方行政改革の一環として、諸州の従事が廃止され、参軍という役職が新たに設置されました。これは、地方行政組織のスリム化と効率化を目指したものでした。隋の開皇12年（592年）には、従事という名称自体が参軍に改められ、その歴史に幕を閉じました。

まとめ

従事は、漢代から隋代にかけて存在した役職であり、刺史という地方官を補佐する重要な役割を担っていました。時代とともにその役割や名称は変化しましたが、地方行政を支える存在として、その歴史に名を刻んでいます。

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