御中﨟

御中臈（おちゅうろう）とは

江戸時代の大奥において、御中臈は将軍や御台所の身の回りの世話をする重要な役職でした。定員は8名とされ、大奥に仕える多くの女中の中から、特に家柄が良く容姿端麗な者が、御年寄などの推薦によって選ばれました。

将軍と御中臈

特に「将軍付き御中臈」は、将軍の側室候補として位置づけられていました。御中臈の中から将軍の寵愛を受け、側室となる者もいました。一方、「御台所付き御中臈」も、将軍の目に留まることがありました。その場合、御台所の了承を得た上で、御台所から将軍へと献上される形となりました。しかし、御台所付き御中臈には拒否権も存在し、拒否した場合は大奥を辞さなければなりませんでした。

寵愛を受け、将軍の寝所に入った御中臈は「お手つき」と呼ばれました。大奥では、お手つきとなった御中臈を「汚れた者」、そうでない者を「お清の者」と呼ぶ習慣がありました。これは、嫉妬心から生まれたものと考えられています。

また、大奥では、かるた取りの「お手つき」が「お手つき中臈」を連想させるため、御台所の部屋でかるたをする際には「お手つき」を「おまちがい」と言い換えていたそうです。

お清の中臈の役割

「お清」の中臈には、御台所や側室が将軍と夜を共にする際、次の間に控えて寝室でのやり取りを終夜聞き、翌朝御年寄に報告する役割がありました。これは、側室が寝所で将軍に個人的な願い事をするのを禁じるための「大奥法度」によるものでした。

御中臈のその後

御中臈よりも下位の女中が将軍の目に留まった場合、まず御中臈に昇進してから寝所に入りました。また、お手つき中臈も30歳を過ぎると、「お褥御免」や「お褥すべり」といって側室としての役目を辞退するのが慣わしでした。

将軍が亡くなった後、側室は原則として落飾し、髪を短く切って「切り髪」となり、院号を授かって大奥を去りました。将軍の子を産んだ側室は二の丸や三の丸に移りましたが、子を産めなかったお手つき中臈は、桜田御用屋敷に送られ、将軍の菩提を弔う生活を一生涯送ることになりました。実家に帰ることができたのは、「お清」の中臈だけでした。

御中臈は、大奥という特殊な世界の中で、将軍や御台所という権力者の傍で、華やかでありながらも厳しい運命を生きた女性たちでした。

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