御主

御主の称号とその歴史

御主（うしゅー・うすー）は、琉球王国における国王の国内称号であり、その用法は歴史的に多様な背景を持っています。御主は琉球王国の国王を指す言葉であり、対外的には明や清から与えられた「琉球國中山王」と称されました。これは琉球国の特異な地位と外交関係を反映しています。

語源と発展

古文献の一つである陳侃の『使琉球録』には「倭急拿敖那」という表現があります。この言葉は「ウチナーガナシ」の略語であるとも言われています。また、後の文献『混効験集』では、国王を指す多様な名称「しより天加那志美御前」や「おしゆ加那志」が登場します。特に、「しょり天加那志」は琉球の伝統音楽にも見られ、多くの人々に親しまれてきました。

「御主」という言葉の起源については、主上を意味する「大ぬし」が元々の形とされます。この表現は、慶長時代以降に漢字を音に当てる文化が浸透し、「大主」や「御主」と当てられるようになりました。この変遷により、言葉の音が変化していったとされています。

国内での用法

御主は琉球王国の国王の称号として最も広く使われ、特に尚灝王が晩年に「坊主御主」と呼ばれた事例が示す通り、国王を敬う表現として深い意味合いを持っていました。この称号には通常、接尾辞として「加那志」や「加那志前」が付けられ、「御主加那志」や「御主加那志前」と呼ばれました。特に「加那志」が付くことで、さらなる尊敬と敬意が示されました。

王家内では「美御前加那志」という呼称も使われ、これは「ヌーメーガナシ」という形に変化しました。また、琉球の各地からは異なる呼称が用いられ、首里以外では「首里加那志」、他の離島からは「沖縄加那志」と呼ばれることが一般的でした。

関連する呼称と称号

琉球の文献『球陽』や家譜には、「主上」「王上」「聖上」といった他の称号も存在します。これらは御主と同じく、国王を象徴する称号として用いられました。琉球王国の外交的立場や文化的背景を反映した興味深い構造です。

まとめ

御主という称号は、琉球国王を指し示す重要な文化的語彙であり、その裏には豊かな沖縄の歴史と伝承が息づいています。琉球王国の国王に対する尊敬の念を示すために、その時代の様々な文献で使われ続け、今日まで伝えられています。各地方から異なる呼称が存在することある同様に、琉球が抱えていた多様な文化や価値観の相互作用も認識できるでしょう。

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