球陽

『球陽』について

『球陽』（きゅうよう）は、1743年から1745年にかけて琉球王国によって編纂された歴史書です。琉球王国の正史として位置づけられ、当時の政治、経済、社会情勢を詳細に記録しています。全26巻と付巻5巻から構成され、その内容は琉球の歴史を研究する上で非常に重要な資料となっています。

概要

『球陽』は、正巻22巻、付巻4巻、外巻正巻3巻、外巻付巻1巻で構成され、漢文で記述されています。書名の「球陽」は琉球の美称であり、日本国内における「崎陽（長崎）」や「岐陽（岐阜）」と同様の使われ方です。

この歴史書は、編纂当初は『球陽記事』または単に『記事』と呼ばれていました。現在の『球陽』という名称が広まったのは琉球処分以降のことです。外巻は『遺老説伝』とも呼ばれ、独立した文献として扱われることもあります。

編纂は、鄭秉哲（ていへいてつ）、蔡宏謨（さいこうぼ）、梁煌（りょうこう）、毛如苞（もうじょほう）らによって行われ、1745年に一旦完成しました。しかし、その後も追記が続けられ、1876年まで加筆が行われたとされています。正巻には歴代琉球国王の治世、政治経済、天変地異、社会風俗、外交関係などが詳細に記録されています。

特に、日本（特に薩摩藩）との関係については、清国との関係に配慮して付巻に記述されている点が特徴です。また、琉球王国成立以前の歴史については、簡略に記述されています。

内容

『球陽』には、以下のような内容が記述されています。

歴代琉球国王の治世
政治、経済に関する詳細な記録
天変地異の記録
社会風俗
外交関係（特に中国、日本との関係）

『球陽』の重要性

『球陽』は、琉球王国の歴史を研究する上で最も重要な史料の一つです。当時の政治、経済、文化、社会情勢を具体的に知ることができるため、琉球史研究には欠かせない資料となっています。

参考文献

宮城栄昌「球陽」『国史大辞典 4』（吉川弘文館 1984年） ISBN 978-4-642-00504-3
高良倉吉「球陽」『日本史大事典 2』（平凡社 1993年） ISBN 978-4-582-13102-4
平良勝保「球陽」『日本歴史大事典 1』（小学館 2000年） ISBN 978-4-095-23001-6

外部リンク

『球陽』諸本集成（画像データ、沖縄の歴史情報・第７巻）
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* 『球陽』 - コトバンク

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