御器所大根

御器所大根（ごきそだいこん）は、かつて愛知県愛知郡御器所村（現在の名古屋市昭和区）を中心として栽培されていた、地域特有のダイコンです。

歴史と特徴

御器所大根は、御器所村の石仏、北山、そして隣接する呼続町の幼蓮寺といった地域で主に栽培されていました。この大根は、特に沢庵漬けに加工するのに適しており、その品質の高さから地域の名産品として知られていました。

御器所大根を使った沢庵漬けは、御器所村に住んでいた萬太という人物によって始められたとされています。萬太は通称で、本名は萬屋亀井太助といい、その通称から「萬太大根」とも呼ばれていました。江戸時代には、尾張藩の藩主がこの大根を江戸土産として買い上げたことがきっかけで、その名が広く知れ渡るようになりました。

慶応元年には、作左衛門という人物が御器所大根の栽培と加工を事業化し、大正9年には年間78万974貫という驚異的な生産量を記録しました。この大根は、植物学的には宮重大根の変種とされています。

現在の御器所大根

現在では、御器所大根の栽培はほとんど行われていませんが、その名前は名古屋市昭和区のマスコットキャラクター「ショウちゃん」のモチーフとして、今もなお地域の人々に親しまれています。ショウちゃんの愛らしい姿は、かつてこの地で盛んに栽培されていた御器所大根を現代に伝えるシンボルとなっています。

参考文献

愛知県立農事試験場 編『愛知の蔬菜』愛知県立農事試験場、1919年5月31日。
愛知郡役所 編『尾張国愛知郡誌』愛知郡役所、1923年2月28日。

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