宮重大根(みやしげだいこん)は、
愛知県清須市で栽培される尾張大根の代表的な品種です。全国的にも知られる主要品種であり、青首大根の一種として分類されます。そのルーツは京野菜の聖護院大根にも繋がるとされ、多くの青首大根がこの品種の系統に属すると考えられています。
特徴
宮重大根は、地域ごとに異なる特徴を持つ系統が存在します。例えば、五日市場、氏永、明治、蜂須賀、小日比野、西成、下津、九日市場といった集落名が付けられた系統があり、それぞれ生食、切り干し、漬物など、適した用途が異なります。
特に、首の部分の甘みが非常に強く、地元ではおやつ代わりに青首部分を輪切りにして皮をむき、塩をつけて生で食べる習慣があるほどです。この甘みは宮重大根の大きな魅力の一つです。
歴史
宮重大根は、旧
西春日井郡春日村宮重が発祥とされています。しかし、第二次世界大戦後、病害や食生活の変化による消費量の減少により、一時的に生産が途絶えてしまいました。
その後、平成時代に入り、「宮重大根純種子保存会」の尽力によって復活を遂げました。伝統の味を再び食卓へ届けられるようになったのは、保存会の活動によるものです。現在では、その独特な風味と歴史的背景から、地元のみならず多くの人に愛されています。
宮重大根は、その甘さと多様な調理法、そして復活の物語を通して、日本の食文化を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。
参考文献
* 農山漁村文化協会 編『伝承写真館 日本の食文化 7 東海』農山漁村文化協会、2006年7月5日。
ISBN 4-540-06230-1。