御坊祭

御坊祭（ごぼうまつり）

和歌山県御坊市の薗新町に位置する小竹八幡宮の例大祭、通称御坊祭は、地域で最も重要な祭りとして知られています。毎年、10月4日の宵宮と5日の本宮にわたり、伝統的な儀式や行事が行われ、地元の人々が一堂に会して賑やかな雰囲気を楽しみます。この祭りは「人を見たけりゃ御坊祭」と言われるほど、日高地方では特に注目されています。

祭りの特徴

御坊祭の祭礼様式は、八幡宮の放生會からの流れを汲む「奴祭」に属し、参加者は独特な祭装束、すなわち奴襦袢と腰巻姿で奉納行事に参加します。現在では、10の氏子組がそれぞれの奉納行事に参加しており、獅子舞や奴踊りなどが行われます。その中でも特に目を引くのは「四つ太鼓」と呼ばれる太鼓台です。太鼓台には、「乗り子」として知られる、歌舞伎の隈取りのような厚化粧を施した少年たちがマーチしながら太鼓を叩く様子は、多くの観客の目を楽しませます。

宵宮

祭りの宵宮は傘揃え式とも呼ばれ、各組の傘鉾が小竹八幡宮の境内に整然と並べられます。午前中は各組が地区内を巡る練り歩きを行い、正午からは中組から順に春日組まで宮入が進んでいきます。ただし、御坊町では日高別院で奉納を行うため、宮入には参加しません。夜には県道185号線で若連行事という余興として、四つ太鼓のみで構成されたパレードが行われます。

本宮

本宮の日程はさらに豊かな内容になっています。朝から神輿渡御が行われ、神輿は市内を巡行しながら美浜町の御旅所に向かいます。そして、正午には神社に帰ってくる予定です。午後3時からは各組の宮入が行われるのですが、この日は宵宮とは異なり、獅子舞や踊りの奉納が境内で行われます。一方で、四つ太鼓の担ぎ手たちは神社前の広場で演じ続けます。宮入は各組に対して1時間の持ち時間があり、最終的には日付が変わる頃大きな盛り上がりを見せます。参加者同士の有機的な協力により、近年は持ち時間の厳守が図られており、祭りの終了時間も大幅に改善されつつあります。

同様の祭り

御坊市や日高地方では、さまざまな祭りが10月に集中して開催されます。御坊祭に似た形式の祭りも多く、四つ太鼓や屋台、幟が立ち並びますが、それぞれの祭り同士のつながりはあまり強くはありません。この時期には印南祭や笑い祭、富安祭、森祭、稲原祭、吉原祭、塩屋祭、由良祭、熊野祭、さらに和田祭など、多彩な祭りが行われます。

経済的および社会的影響

2019年10月5日に行われた御坊祭では、暴力団組織である神戸山口組の中核グループからの寄贈が問題視されました。この結果、寄贈された幟に組長の名前が記載される事が問題になり、警察は取り締まりに難色を示しました。一方で、新型コロナウイルスの影響により、2020年から2022年までは神事のみが実施され、賑やかな神賑行事は中止される事となりました。こういった歴史も、御坊祭の持つ重要性と地域社会の複雑さを示す一例と言えるでしょう。

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