御宿かわせみ

書籍『御宿かわせみ』とは

『御宿かわせみ』（おんやどかわせみ）は、著者平岩弓枝による連作時代小説で、1973年から2005年にかけて発表されました。この作品は、江戸時代末期の江戸を舞台に、旅館「かわせみ」で起こる事件やその解決を描いた人情捕物帖です。物語は、主人公である旅籠の女将・庄司るいと彼女の幼馴染である神林東吾を軸に展開し、さまざまなキャラクターが織りなす人間ドラマが魅力となっています。

作品の概要

この小説は、『小説サンデー毎日』にて1973年2月から始まり、最初の33話が掲載されますが、その後休刊の影響で一度連載が中断します。しかし、1982年に『オール讀物』で連載が再開され、最終的には2005年に完結しました。様々な媒体でのドラマ化も行われ、1973年のTBSドラマを皮切りに、NHKやテレビ朝日でも放送され、舞台化もされています。また、続編として明治時代を背景にした『新・御宿かわせみ』も存在します。

あらすじ

物語の舞台は江戸時代末期、江戸の大川端です。主人公の庄司るいは、父を町奉行所で働いていた同心として失った後、大川端町に旅籠「かわせみ」を開きます。彼女の幼馴染であり恋人でもある神林東吾は、町奉行所の与力であり、彼の友人である畝源三郎や御典医の息子・天野宗太郎と共に市井の事件に関わっていきます。物語は、るいと東吾の関係の進展や、仲間たちとの絆、成長を描く内容が多く、特に初期から中期にかけては、身分の違いを気にする二人の恋愛模様が丁寧に描かれます。

物語が進むにつれて、東吾の出仕やるいとの結婚と出産が描かれ、キャラクターたちの時間の流れが感じられます。恋愛、友情、時代の移り変わりといったテーマが交錯する中、読者は作品に引き込まれていくことでしょう。

主要キャラクター

庄司るい

大川端町に旅籠を営む女主人。かつては父の後を継ぐために町奉行所での務めを思い描いていましたが、父の死後は旅籠に専念する。幼い頃から東吾を愛し、身分の違いに悩みつつも彼を支え続けます。

神林東吾

町奉行所与力の弟で、るいの恋人。剣術の達人で、魅力的な性格を持っています。二人の関係を進展させるべく成長していく姿が描かれます。

畝源三郎

東吾の親友で定廻り同心。頼りになる存在で、時にコミカルなシーンを盛り上げます。彼の誠実な性格は物語の中でも大切な要素です。

天野宗太郎

将軍家の御典医の息子で、医師でもあるキャラクターです。彼の存在が、物語に医学や知識をもたらし、ストーリーに幅を持たせます。

テレビドラマと舞台

『御宿かわせみ』は、数多くのテレビドラマや舞台化が行われてきました。1973年のTBSドラマをはじめ、NHKによる水曜時代劇でも放送され、多くの視聴者に愛されました。また舞台化も行われ、原作の魅力を生かしたさまざまな公演が行われています。

結論

『御宿かわせみ』は、愛、友情、勇気をテーマにしながら、時代背景を色濃く反映した作品です。平岩弓枝の確かな筆致が生み出す人間関係や事件の数々は、読者を惹きつける要素が満載です。どの世代の読者にも感情移入できるストーリーが展開され、心に響く作品となっています。

もう一度検索