御影村 (北海道)

御影村：北海道の消えた村の物語

北海道上川郡清水町南部に位置する御影村は、昭和31年（1956年）に清水町へ編入されるまで、独自の足跡を刻んだ村でした。その歴史と地理、産業、交通について詳しく見ていきましょう。

地名と地理

御影村の村名は、村内で産出された花崗岩（御影石）に由来しています。しかし、その歴史を遡ると、アイヌ語の地名「サン・エンコロ」（出ている鼻）に由来する「佐念頃（さねんころ）」と呼ばれていた時代もありました。この地名は、アイヌの人々の生活と深く関わっていたことを示唆しています。

地理的には、十勝平野の西部に位置し、芽室岳（1,754m）や剣山（1,205m）といった山々に囲まれた自然豊かな土地でした。村内を流れる久山川、芽室川、小林川は、農業に欠かせない水源として重要な役割を果たしていたと考えられます。

産業

御影村の産業は、農業が中心でした。主要な産品は、大豆、小豆、インゲンマメ、エンバク、大麦といった穀物類です。昭和6、7年（1931、1932年）頃からは、ジャガイモの生産も盛んになり、村の経済を支える重要な作物となっていったようです。豊かな自然環境が、多様な農作物の栽培を可能にしたと言えるでしょう。

歴史：編入までの道のり

御影村は、大正10年（1921年）4月1日、芽室村から分離する形で誕生しました。当初は羽帯村と芽室村の一部を合わせた地域でしたが、大正14年（1925年）には、2つの大字を5つの字に再編されました。その後の昭和24年（1949年）8月7日には、芽室町大字美蔓村の一部を編入し、字・毛根が誕生しました。そして、昭和31年（1956年）9月30日、御影村は清水町に編入され、6つの字は清水町の字として継承されました。長い歴史の末に、御影村は清水町の一部となり、その歴史は新たな章へと進んだのです。

交通

御影村には、国鉄根室本線（現在のJR根室本線）の御影駅がありました。これは、村の外部との重要な交通手段だったと考えられます。また、国道38号も村内を通過しており、物資の輸送や人々の移動に役立っていたでしょう。羽帯駅は、御影村編入後の昭和33年（1958年）9月10日に開業しています。

むすび

御影村は、アイヌ文化からの歴史を受け継ぎ、農業を基盤とした独自の文化を築き上げてきました。御影石の産出、そして昭和31年の清水町編入という歴史的出来事は、北海道の地方史において重要な位置を占める出来事と言えるでしょう。この小さな村の歴史を振り返ることで、北海道の豊かな自然と人々の営みについて、より深く理解することができるはずです。 御影村の記憶は、清水町の歴史の一部として、これからも大切に受け継がれていくことでしょう。

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