御法度 (映画)

映画『御法度』について

『御法度』は、1999年に公開された日本映画で、監督は大島渚によります。この映画は司馬遼太郎の短編小説集『新選組血風録』の中の「前髪の惣三郎」と「三条磧乱刃」を原作にしています。物語は幕末の京都を舞台にしており、新選組を男色の視点から描いているため、当時の時代劇とは一線を画す作品となりました。この映画は、13年ぶりの監督作品であり、大島渚の遺作としても知られています。

主なキャストとスタッフ

主演にはビートたけしが土方歳三役で出演し、そのほかにも松田龍平、浅野忠信、武田真治などが名を連ねています。音楽は坂本龍一が担当し、映画全体における美術や衣装も優れたセンスによるものです。特に衣装デザインはワダ・エミが手がけており、従来の光景とは異なった新選組の姿を映し出しています。

あらすじとテーマ

物語は1865年の京都、新選組が新しい隊士を募集するところから始まります。その中に加納惣三郎（松田龍平）という美少年がいます。彼は剣技に優れており、入隊初日からその腕前を周囲に印象付けます。しかし、彼は同期の田代彪蔵（浅野忠信）に衆道の世界に引き込まれ、次第にその魅力に魅了されていきます。

最初は拒否していた加納ですが、次第に中毒のように衆道にのめり込んでしまいます。彼の心の変化と共に、新選組内の人間関係も複雑化し、不和が生じることになります。特に厳格な性格の土方はこの状況に頭を悩ませます。やがて、加納の行動は新選組の統制を揺るがす事態を引き起こし、土方と沖田によって粛清される運命を辿ることになります。

制作背景

この映画は大島渚が1995年に制作を計画し始め、脳溢血に倒れたことから一時的に中断されました。しかし、健康が回復した後に1999年にようやく完成しました。公開当時、映画は第9回淀川長治賞や第1回文化庁優秀映画賞を受賞し、映画ファンの間で注目を集めることになりました。

映画の評価

『御法度』は、その大胆なテーマと斬新な表現方法から賛否が分かれましたが、司馬遼太郎の原作を活かしつつ新たな視点で構成されたことが評価されました。また、映画は第53回カンヌ国際映画祭にも出品されましたが、ヨーロッパの観客には時代背景が理解されにくかったようです。それでも、この作品は大島渚の独創的なビジョンを映し出した作品として、今なお多くの観客に記憶され続けています。映画のテーマや登場人物の織り成すドラマは、男色や友情、裏切りの要素を取り込みながら、複雑で深い感情を呼び起こします。

結論

大島渚の『御法度』は、ただの時代劇に留まらず、男色という普段目にすることのないテーマを掘り下げ、新選組の内部での人間関係や心理を描いた傑作です。映画はその後多くの視聴者に影響を与え、今なお語り継がれる作品となりました。

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