御真影

御真影（ごしんえい）について

御真影とは、日本において天皇の肖像写真や肖像画を敬意をもって指す言葉です。特にエドアルド・キヨッソーネが描いた明治天皇の肖像画が有名で、御写真とも呼ばれる天皇の肖像写真は、教育現場で1890年代から広く配布されました。これらは天皇と同一視され、最大限の敬意をもって扱われ、1920年代からは奉安殿と呼ばれる特別な場所で保管されるようになりました。

歴史的背景

御真影の起源は1873年に遡ります。当時の奈良県知事が県庁に天皇の肖像写真の配布を請願したのが契機で、日本各地の府県でも同様の請求が相次ぎました。1890年代に入ると、教育現場に本格的な配布が始まりました。御真影は子どもたちにとって尊重すべき存在であり、授業や学校行事で重要な役割を果たしました。特に1887年、宮内省から沖縄県尋常師範学校へ御真影が初めて下付されたことから、全国の高等小学校へも広がりを見せました。

教育現場での御真影

教育現場において、御真影は特に崇敬の対象とされ、文部省は教育勅語や御真影を学校内の特定の場所に「最も尊重に奉置」するよう指導しました。そのため、奉安殿という特別な保管場所も設けられました。1928年には昭和初の御真影伝達が行われ、全国に16,338組もの御真影が配布されました。これにより、御真影は教育の一環として深く根付いていました。

御真影の管理と事件

宮内省から学校へ貸与され、御真影は極めて慎重に扱われるべきものでした。1898年には長野県のある小学校での火災が理由で、明治天皇の御真影が焼失し、校長が割腹自殺する悲劇も発生しました。また、1921年や1933年には別の校長が御真影を守ろうとして命を落とす事件がありました。これらの事件は、御真影が持つ重圧を如実に示していました。

報道と商業写真

戦前の日本において、御真影は教育現場で厳重に扱われる一方で、一般市民が手にする皇室の写真は多くがマスコミを通じて流通し、国民の日常生活の一部になっていました。様々な商業機関が皇室の写真や絵画を出版し、広く販売される中、特に皇太子裕仁親王（後の昭和天皇）の姿は多くのメディアで取り上げられ、皇室人気を高める要因となりました。

戦後の御真影と奉掲所

第二次世界大戦後、1945年に文部省は学校からの御真影の回収を指示し、回収された御真影は焼却処分されました。その後、御真影の校内掲示は再び行われることとなり、1950年代に一部の学校で再掲示儀式が復活しました。奉掲所と呼ばれる場所には、御真影以外にも工芸品や宗教的なオブジェが掲げられていますが、今の時代において御真影の存在意義は大きく変化しています。

結論

御真影は、日本の歴史や教育において重要な役割を果たしてきました。その背後には天皇への深い敬意と、国民との関係が存在しています。御真影は単なる肖像の枠を超え、日本の文化と歴史の一部として、今なおその影響を持ち続けています。

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