エドアルド・キヨッソーネ

エドアルド・キヨッソーネ：日本の近代化に貢献したイタリア人版[[画家]]

エドアルド・キヨッソーネ（1833年-1898年）は、イタリア生まれの版[[画家]]、画家です。明治時代に日本に招かれ、「お雇い外国人」として活躍しました。キヨッソーネは、日本の紙幣や切手の印刷技術の基礎を確立しただけでなく、日本の美術にも深い関心を持ち、多くの作品を残しました。

イタリアでの修業と紙幣製造への関与

キヨッソーネは、代々製版・印刷業を営む家系に生まれました。14歳からリグーリア美術学校で銅版画を学び、22歳で卒業と同時に教授の職に就くほどの実力を持ちました。パリ万国博覧会では、彼の銅版画が銀賞を受賞するなど、高い評価を得ていました。

その後、紙幣製造に興味を持ったキヨッソーネは、イタリア王国国立銀行に就職。ドイツのドンドルフ・ナウマン社に出向し、同社の紙幣製造に携わります。この会社は当時、日本の明治政府から政府紙幣（明治通宝）の製造を受注しており、キヨッソーネもその製造に関わっていました。

日本への招聘と紙幣局での指導

1875年、キヨッソーネはイギリスの印刷会社に勤務しながら、日本の大隈重信から破格の条件で招聘を受け、来日しました。当時、日本は偽造防止の観点から、より精巧な紙幣の製造が喫緊の課題でした。キヨッソーネの高度な銅版画技術は、この課題解決に不可欠だったのです。

来日後、キヨッソーネは大蔵省紙幣局（現在の国立印刷局）で指導的な役割を担いました。彼は、日本の紙幣、切手、印紙、政府証券などのデザインと製造技術の向上に貢献しました。16年間の在職中に、彼が版を彫った作品は500点以上にのぼります。特に、初期の近代的紙幣の多くはキヨッソーネの作品です。

明治天皇御真影制作と肖像画

1888年には、宮内省の依頼で明治天皇の御真影を制作し、高額の慰労金を受けました。その他にも、元勲や皇族の肖像画を数多く制作しています。興味深いのは、モデルと面識がない人物も多く、例えば西郷隆盛の肖像画は、写真が残されていなかったため、西郷の親族や知人の協力を得て制作されたことです。また、当時の紙幣に描かれた歴史上の人物像も、キヨッソーネ独自の解釈に基づいて、日本の政治家や紙幣局職員をモデルに描かれたといわれています。小判切手も彼のデザインによるものです。

印刷技術の伝授

キヨッソーネは、日本の印刷技術にも大きな影響を与えました。それまでエッチングが中心だった日本の銅版画に、ビュランを使った直彫りのエングレービングやメゾチントなどの技法を紹介し、さらにクラッチ法や電胎法といった、大量印刷を可能にする技術も伝授しました。これにより、日本の印刷技術は大きく発展しました。

晩年とコレクション

1891年に雇用期間が終了した後も、キヨッソーネは日本に留まりました。政府から多額の退職金と終身年金が与えられましたが、その多くを日本の美術品や工芸品の収集や寄付に充てたと伝えられています。1898年に東京で亡くなり、青山霊園に埋葬されました。

キヨッソーネは、浮世絵版画、銅器、鍔など、15000点以上もの美術品を収集しました。これらのコレクションは死後、イタリアに送られ、現在ではジェノヴァ市立キオッソーネ東洋美術館に収蔵されています。彼の収集活動は、日本の美術への深い愛情と、学究的な探求心を物語っています。

キヨッソーネを描いた切手

キヨッソーネの功績を称え、イタリアと日本では彼の肖像を描いた切手が発行されています。イタリアでは和服姿、日本では洋装姿のキヨッソーネが描かれ、いずれも彼がデザインした小判切手もあしらわれています。

参考文献

『お雇い外国人キヨッソーネ研究』 明治美術学会/印刷局朝陽会編（中央公論美術出版　1999年）
『肖像のなかの権力 　近代日本のグラフィズムを読む』 柏木博（講談社学術文庫 2000年　平凡社　1987年）
『日本紙幣収集事典』 原点社 2005年 67～69頁
展覧会図録 『キヨッソーネ東洋美術館所蔵 浮世絵展』

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