御笠ノ忠次

御笠ノ忠次（伊藤栄之進）

御笠ノ忠次（みかさの ちゅうじ）は、1980年7月24日生まれ、千葉県出身の日本の劇作家、脚本家、演出家です。2020年8月27日以降は、本名である伊藤栄之進（いとう えいのしん）名義で活動しています。また、株式会社スペースノイドカンパニーの代表取締役も務めています。

キャリアと活動

御笠ノ氏は、高校在学中に演劇ユニット「SPACENOID」を旗揚げしました。高校卒業後、父親の勧めもあり劇団1980へ入団し、演出家の藤田傳氏に師事。約二年間、舞台の基礎や表現について学びました。劇団を退団後、SPACENOIDの活動を本格的に開始。2010年に解散するまで、SPACENOIDで上演された全ての作品において、自ら脚本執筆と演出を手がけ、多くの作品で出演も果たしました。

SPACENOID解散後は、プロデュースユニット「案山子堂」を立ち上げ、新たな形で創作活動を継続します。その後、2018年には株式会社スペースノイドカンパニーを設立。舞台や映像に携わる俳優、クリエイター、ミュージシャンといった才能のマネジメント事業を開始するなど、活動の幅を広げています。

評価と受賞

劇作家・演出家としての才能は、若手演出家を対象としたコンクールで高く評価されています。日本演出者協会が主催する「若手演出家コンクール」においては、2001年に『童貞散華』で優秀賞、2002年に『ONE LIFE』で奨励賞を受賞しました。特に注目すべきは2009年のコンクールで、椎名誠氏の著作に着想を得たドキュメント作品『哀愁の町に霧がほにゃらら』がノミネート。最終審査で上演した『個人的な話』によって、見事最優秀賞を獲得しています。

多様な創作活動

御笠ノ氏の活動は、主宰するユニットやプロデュース公演に留まりません。外部のプロデュース作品や劇団公演においても、演出家や脚本家として数多くの作品に携わっています。その中でも、メディアミックス作品の舞台化・ミュージカル化における手腕は特筆されます。ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズでは脚本を手がけ、その人気を確立する上で重要な役割を担いました。他にも、舞台『東京喰種トーキョーグール』シリーズ、舞台『文豪ストレイドッグス』シリーズ、舞台『幽☆遊☆白書』シリーズなど、多くの人気漫画やアニメを原作とした舞台作品の脚本や演出を担当し、2.5次元ミュージカル・舞台の分野でもその存在感を示しています。

舞台作品以外にも、映像分野での実績も豊富です。映画『東京喰種トーキョーグール【S】』では脚本を担当。また、テレビアニメ『東京喰種トーキョーグール』シリーズや『群青のマグメル』では、シリーズ構成と脚本を手がけるなど、活躍の場は多岐にわたります。

人材育成と個性的なエピソード

後進の育成にも熱心であり、2018年からは脚本家志望者を対象とした脚本塾を定期的に開催しています。この塾は、お寺の一室を借りて行われていることから「寺子屋」の愛称で親しまれており、2021年からはオンライン形式での開催も始まりました。教育者としての側面も持ち合わせています。

また、個性的な一面も垣間見えます。趣味で収集している箸袋を整理するための専用ファイルが欲しいという個人的な動機から、自社で「箸袋コレクションファイル」というオリジナル商品を企画・製作し、実際に発売するというユニークなエピソードも持ち合わせています。

主な作品リスト

御笠ノ忠次 / 伊藤栄之進名義での主な活動は以下の通りです。

舞台（一部抜粋）

SPACENOID公演: 『ビリー・ザ・キッドの最期の弾丸』、『童貞散華』、『ONE LIFE』、『個人的な話』など、全作品で作・演出・出演を兼任。
案山子堂公演: 『ジハード家族』、『bond 再』、『他人さがし』など。
外部公演: 赤坂RED/THEATERプロデュース『絢爛とか爛漫とか』（演出）、サバダミカンダ『スタンレーの魔女』（作・演出）、時速246億シリーズ（作・演出）、舞台『メサイア』シリーズ（演出）、ミュージカル『AKB49〜恋愛禁止条例〜』（作）、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ（脚本・脚本統括）、舞台『東京喰種トーキョーグール』シリーズ（作）、舞台『マジすか学園〜Lost In The SuperMarket〜』（作）、舞台『ダイヤのA The Live 5』（作・演出）、舞台『文豪ストレイドッグス』シリーズ（作）、舞台『幽☆遊☆白書』（作・演出）、舞台「幽☆遊☆白書」其の弐（作・共同演出）、ミュージカル『刀剣乱舞』にっかり青江 単騎出陣シリーズ（作・演出）、『終末のワルキューレ』~The STAGE of Ragnarok~（脚本・ドラマターグ）など。

映画

『ビリー・ザ・キッドの最期の弾丸』（脚本・出演）
『東京喰種トーキョーグール【S】』（脚本）

アニメ

『東京喰種トーキョーグール』シリーズ（シリーズ構成・脚本）
『群青のマグメル』（シリーズ構成・脚本）

著書

戯曲 ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ戯曲集（集英社）

精力的に活動を続ける御笠ノ忠次、改め伊藤栄之進氏は、日本の演劇界、特に2.5次元舞台の分野において、その確かな手腕と創造力で数々の話題作を生み出し続けています。脚本家、演出家、そしてプロデューサーとしての活動に加え、後進の育成やユニークなビジネス展開に至るまで、その活動領域は広がる一方であり、今後のさらなる活躍が期待されています。

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