御野立所

御野立所：歴史と現代における意味

御野立所（おのだてしょ、おのたてしょ、おのだちしょ、おのたちしょ）とは、移動中の貴人、特に天皇が野外で休憩するために設けられた場所を指します。この名称は、貴人が野外で休息する「野立て（のだて）」という行為に由来しますが、御野立所を起源とする地名の読み方は、地域によって多様です。

史跡としての御野立所

明治時代以降、天皇が全国各地を行幸するようになると、その滞在先には御野立所が設置され、利用されるようになりました。特に明治天皇が使用した御野立所は、史蹟名勝天然紀念物保存法に基づき史跡に指定されることが多く、場所によっては記念碑が建立され、公園のように整備・管理されてきました（明治天皇聖蹟を参照）。

しかし、第二次世界大戦後の1948年、御野立所を史跡として公的に管理することは、新日本国憲法の精神にそぐわないという判断が下され、全国的に御野立所に関する史跡指定が解除されました。この時、御小休所、行幸所、大本営、御講評所など、同様の性格を持つ施設も同時に指定解除となっています。

史跡指定が解除された後も、公園の一部として管理が継続された場所もあり、大正天皇や昭和天皇の御野立所を含め、21世紀になった現在でも石碑や案内板などが残されている場所が少なくありません。これらの場所は、歴史的な出来事を偲ぶ貴重な場所として、地域の人々に大切にされています。

全国植樹祭における御野立所

四大行幸啓の一つである全国植樹祭の式典会場では、天皇・皇后両陛下が着座される場所を、慣例的に御野立所と呼んでいます。この場所は、会場の中でも特に象徴的な意味を持つため、毎年、開催地の都道府県がその地域の特色を活かしたステージ状の木製構造物や建築物を設営します。

例えば、2013年に鳥取県で開催された全国植樹祭では、御野立所の設計に関してプロポーザル方式による公募が行われました。デザインコンセプトや機能性などを重視した厳正な審査の結果、最終的な提案者が決定されています。式典終了後、御野立所は移築されたり、部材が再利用されたりするなど、その後の活用方法も工夫されています。

このように、全国植樹祭における御野立所は、単なる休憩所としてだけでなく、開催地の文化や技術を象徴する存在として、重要な役割を果たしています。

御野立所は、時代とともにその役割や意味合いを変えながらも、日本の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産と言えるでしょう。

関連項目

御殿・御茶屋 - 江戸時代に徳川将軍家が利用した休憩所、宿泊施設
塩嶺御野立記念祭

脚注

[参考資料]
各自治体の文化財情報
全国植樹祭関連資料

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