御附家老

御附家老について

御附家老（おつけがろう）は、江戸幕府の初期に設立され、将軍家から大名に取り立てられた者に附属した家臣のことを指します。この家臣たちは、特に将軍からの直接の命令を受け、藩主の家老としての役割を果たしました。歴史的には、藩主の家来というよりも、将軍直属の監視役に近い立場とされ、政務や軍事の補佐、時には藩主の養育を任されました。

御附家老の役割と背景

江戸時代において、御附家老たちは将軍家と各藩との調整役を担う重要なポジションにありました。彼らの主な役割は、藩の運営を適切に行うとともに、将軍の意向を藩内に反映させることでした。時代が経つにつれ、各藩や附家老家はそれぞれ独自の方針を持つようになり、一部の附家老は藩主に忠実でありながらも、将軍と対抗する姿勢を示す場面も見受けられました。このため、藩内では派閥抗争が起こることもありました。

特に尾張徳川家の成瀬家や竹腰家、紀伊徳川家の安藤家や水野家、水戸徳川家の中山家などの5家は、御三家として特に重要な役割を果たし、時には幕府の政策に影響を与える存在となりました。慶応4年（1868年）には新政府により、これら5家は独立大名としての地位を得て、明治17年（1885年）には全て男爵に列せられることになります。

御附家老の変遷

初代の附家老たちはそれぞれ、将軍から藩主を養育し、藩の統治を任されました。しかし、附家老の立場はしばしば不安定なものであり、彼らは時には将軍家と藩主との間で板挟みの苦境に陥ることもありました。特に江戸初期には、彼らは大名格の権限を持ちながらも、陪臣として扱われることもあり、待遇改善を求める動きが出てきました。

例えば、水戸の中山氏は、附家老の待遇を改善するために、幕府に対して直接交渉を行い、後に他の附家老たちもこれに続きました。特に安藤直次や成瀬正成は、初期の江戸幕府において大御所である徳川家康の支えとなりながら、藩主に対する忠誠心を持っていた点が特徴的です。このように、御附家老の存在は、単に家臣の役割を超えて、幕府の政策にも影響を与える要素となっていました。

政務地と待遇

御附家老たちは一般的に、江戸や名古屋など異なる地域に政務所を持ち、年に数回交代で政務を行っていました。特に尾張家の成瀬氏と竹腰氏は、特定の期間を交代で担当していました。また、紀州家の安藤氏は紀州に根拠を置き、水野氏は江戸詰めで活動しました。

御附家老たちは、時代とともに自らの地位の向上を目指しましたが、幕府との交渉や内部分裂が原因でなかなか実現には至らないことも多々ありました。御三家の附家老家は、藩政を動かしつつも、時には将軍家への意見も具申する役割を任されることがあり、複雑な関係性を維持しました。

御附家老以外の例

さらに、御附家老だけでなく、他の家族や大名にも附家老が存在しました。駿河徳川家や越前松平家などでも同様の制度が見られ、各大名の立場や権力構造に応じて、それに見合った家臣が配置されていました。これらの家臣も、御附家老と同様に大名の忠実な下でとして機能し、幕府との連携を強化していました。

結論

御附家老は、江戸時代における政治的な複雑さを背景に、将軍家との結びつきと同時に藩主への忠誠を要求される、非常に重要且つ困難な役割を果たしていました。彼らの活動は、江戸幕府の形成と維持において欠かせない要素となり、時には藩の内戦の引き金にもなるなど、様々なドラマが展開されました。

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