復古神道

復古神道（ふっこしんとう）について

復古神道は、江戸時代に国学者たちによって提唱された神道の一形態です。この教えは、「古神道」や「古道」、「皇学」、「本教」とも呼ばれ、天之御中主神が最高位の神とされます。

教義の特徴

復古神道の教義は多様ですが、中心となる思想は「儒教や仏教の影響を受ける以前の日本民族の精神に立ち返ろう」というものです。特に「惟神（かんながら）の道」が重視され、神々の意志を直接的に体現することが求められます。これにより、この信仰体系は江戸時代初期に生まれた垂加神道と共通部分を持ちながら、より学問的に進化していきました。

国学の代表的な学者である賀茂真淵や本居宣長は、古代の思想を復興させるべく、「古道説」を唱え、復古神道の基盤を築きました。特に本居の『古事記伝』による影響は大きく、神の道を示すことを目的としました。平田篤胤や本田親徳はそれを受け継ぎ、新たに儒教や仏教を排斥し、純粋な日本古来の信仰を重視する立場を取ったことで、この宗教を大成させていきました。彼らの思想は、江戸時代の町人層や農村の庄屋たちに広がり、幕末には志士たちにも強い影響を与えました。特に、明治維新時の尊王攘夷運動においては、復古神道の理念が重要な役割を果たしました。

実践と行法

復古神道においては、多くの流派が「言霊」や「数霊」を用いて『古事記』や『日本書紀』を解釈します。また、様々な行法として十言の神咒や三種の祓い、禊行などが実践されます。これらの行法は、後の神社で行われる儀式や祭りに直結しており、復古神道から派生したものといえます。

歴史背景

仏教が日本に伝来して以来、神道と仏教の関係は複雑でした。大化の改新以後は平和的な共存が進み、平安時代になると天台宗や真言宗が確立、神仏が混在する神仏習合があらわれました。この時期、神道は「古道」と呼ばれ、教義や戒律の整備が行われることはありませんでした。このため、神道は素朴な精霊信仰としての形を維持してきましたが、神仏習合の進展により、仏教理論を基に古来の神々を説明するような状況になりました。

江戸時代に入り、賀茂真淵が『国意考』を発表し、古道の確立を主張したことで復古神道の思想的背景が生まれました。その後、本居宣長が大作である『古事記伝』を完成し、神の道の再生を試みました。平田篤胤は、本居宣長から影響を受けつつ、神道の正当性を説きこの信仰の基礎をしっかり築きました。平田派国学が形作られることで、古神道系の宗教家たちが次々と活動を始め、復古神道の理念が広がりました。

明治に入ると、平田派国学者たちが神仏分離と神道の国教化を推進し、復古神道の新たな展開が見られました。本田親徳とその弟子らは「一霊四魂」説を体系化し、日本古来の信仰の根底にある思想を更に深めていきました。

このように、復古神道は日本における古代の信仰を尊重し、現代に生きる人々にも影響を与えています。

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