復讐の蠍団 イン・トランス

ドイツを代表するハードロックバンド、スコーピオンズが1975年に発表した3枚目のスタジオアルバムが『復讐の蠍団 イン・トランス』（原題：In Trance）です。

このアルバムの制作において特筆すべき点は、プロデューサーとしてディーター・ダークスが初めてバンドとタッグを組んだことです。彼はこれ以降、1988年のアルバム『サヴェイジ・アミューズメント』に至るまで、長期にわたりスコーピオンズの主要作品を手掛けることになります。ダークスの参加は、その後のスコーピオンズの音楽性を形作る上で、重要な契機の一つとなりました。

本作には、バンドの主要メンバーであるウリ・ジョン・ロート、ルドルフ・シェンカー、クラウス・マイネらが作曲に貢献した多様な楽曲が収められています。特にタイトル曲である「イン・トランス」は、ルドルフ・シェンカーとクラウス・マイネの共作であり、後のライブでも定番となる人気曲です。また、ウリ・ジョン・ロートが手がけた楽曲も多く収録されており、彼の個性が光る演奏や世界観がアルバムに深みを与えています。

収録曲は以下の通りです。

ダーク・レディ (Dark Lady) - 3:30 作曲：U.Roth
イン・トランス (In Trance) - 4:47 作曲：R.Schenker / K.Meine
人生は川の如し (Life's Like A River) - 3:54 作曲：U.Roth / R.Schenker / C.Fortmann
トップ・オブ・ザ・ビル (Top Of The Bill) - 3:26 作曲：R.Schenker / K.Meine
生と死 (Living And Dying) - 3:24 作曲：R.Schenker / K.Meine
ロボット・マン (Robot Man) - 2:47 作曲：R.Schenker / K.Meine
日暮れ時の風 (Evening Wind) - 5:06 作曲：U.Roth
サン・イン・マイ・ハンド (Sun In My Hand) - 4:25 作曲：U.Roth
炎を求めて (Longing For Fire) - 2:44 作曲：R.Schenker / U.Roth
ナイト・ライツ (Night Lights) (Instrumental) - 3:14 作曲：U.Roth

『復讐の蠍団 イン・トランス』は、スコーピオンズがその後の国際的な成功へと繋がる道のりを歩み始める上で、プロデューサーとの長期的な信頼関係を築いた重要な一歩となる作品と言えるでしょう。バンドのキャリアを語る上で欠かせない、初期を代表する一枚です。

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