微笑みの国

微笑みの国

『微笑みの国』（ドイツ語: Das Land des Lächelns）は、1929年10月10日、ベルリンのメトロポール劇場で初演されたフランツ・レハールによる全三幕のオペレッタです。「メリー・ウィドウ」と並び称される評価を受けており、ハンガリー語では「A Mosoly Országa」、英語では「Land of Smiles」と呼ばれています。レハールはこの作品の前にもいくつかの成功したオペレッタを発表し、その名声を確立していました。

概要

レハールは「メリー・ウィドウ」のヒットによって知名度を上げ、その後も「ルクセンブルグ伯爵」や「ジプシーの恋」など多くの作品を次々と発表し、特に第一次世界大戦後には新たな作風を追求しました。彼の作品に見られる新しい試みやハッピーエンドの常識を覆す内容は、当時の社会情勢を反映していました。

『微笑みの国』は、レハールの前の作品である『黄色いジャケット』を基に、脚本作家ルートヴィッヒ・ヘルツァーとフリッツ・レーナー＝ベーダにより改作されました。歌手リヒャルト・タウバーに合わせ、新しい音楽も加えられたことで、劇は大ヒットを記録しました。音楽には叙情的な要素が多く含まれ、ウィーンオペレッタの伝統と調和する形式が保たれていますが、初演はベルリンで行われたことが特筆されます。

演奏時間

このオペレッタの演奏時間は、序曲が約8分40秒、第一幕が29分、第二幕が40分、第三幕が12分であり、全体で約1時間30分、上演時間はおおよそ1.5から2時間とされています。

台本

元々の台本はヴィクトール・レオンによるもので、1923年にウィーンで初演されましたが、内容が未完成だったため、改訂が行われました。新たな台本と歌詞が加えられたことで、非常に高い評価を受けるようになりました。

作品の成立背景

「微笑みの国」は、19世紀から続くオリエンタリズムの影響を強く受けています。劇中には思い込みや誤解に基づく中国の描写が多く、リアリティよりもドラマ性が重視されています。ストーリーは通俗的ですが、レハールの音楽は高い完成度と美を誇り、多くの人々に親しまれています。

構成

全三幕で構成されており、舞台は1912年のウィーンと北京に設定されています。

• - 第一幕

ウィーンのリヒテンフェルス伯爵邸のサロン。

• - 第二幕

北京のスー・チョン殿下の宮殿の大広間。

• - 第三幕

スー・チョン殿下の後宮。

登場人物

• - リーザ（ソプラノ）：リヒテンフェルス伯爵の娘。
• - グスタフ・フォン・ポッテンシュタイン伯爵（バリトン）：幼馴染の竜騎兵中尉。
• - スー・チョン殿下（テノール）：中国の外交官。
• - ミー（ソプラノ）：スー・チョンの妹。
• - チャン（バリトン）：スー・チョンの伯父。
• - フェルディナント・リヒテンフェルス伯爵：リーザの父。

他、多くのキャラクターが登場します。

あらすじ

第一幕

リーザは多くの崇拝者に囲まれる人気者ですが、密かに中国の外交官スー・チョン殿下に恋をしています。彼は帰国のために別れを告げ、リーザは彼についていくことを決心します。

第二幕

北京に着いたリーザは、中国の伝統や文化に触れつつ、スー・チョン殿下の纽约意に苦しむことになります。

第三幕

リーザは後宮に軟禁され、スー・チョンの家族との葛藤が続きます。最終的に彼女は帰国を願い、涙の別れを経て物語は終息します。

聴きどころ

特に「君こそ我が心のすべて」や「悲しみも微笑の下に隠すのだ」といった名曲は、多くの人々に感動を与えてきました。

この作品は、日本のアマチュア吹奏楽団の間でも人気を博しており、編曲も多く行われています。劇や音楽祭を通じて様々な形で親しまれている作品です。

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