徳寿宮

徳寿宮（とくじゅきゅう）

徳寿宮は、大韓民国ソウル特別市に位置する歴史的な宮殿で、かつての李氏朝鮮時代の王宮です。この宮殿は、最初は第9代国王・成宗の実兄である月山大君の住居として建設されましたが、その後、1593年に豊臣秀吉の攻撃により台所から避難してきた宣祖により、臨時王宮として利用されることになりました。この時期、徳寿宮は「貞陵洞行宮」と名付けられ、後には「慶運宮」と称されました。

光海君が 昌徳宮に移った後、慶運宮は廃屋となったものの、第26代国王である高宗が1897年に宮殿の改修を進め、『璿源殿』や寝殿である『成寧殿』、『普門閣』、『思成堂』を新たに築き上げ、王宮としての体裁を整えました。この期間中、1896年に閔妃暗殺事件が発生した際、一時的にロシア公館に避難した後、高宗は慶運宮に戻り、以降もこの宮殿で生活しました。また、宮殿の呼称も「即祚堂」を「太極殿」と改名し、外部の貴族を迎えるための専用の場所も設けられました。

その後、1900年には咸寧殿を改築し、慶運宮を囲む城壁も構築され、1907年の高宗の退位まで、この宮殿は大韓帝国の重要な歴史的場面の舞台となりました。次の皇帝である純宗の治世には、慶運宮は「徳寿宮」に改名され、1909年には石造殿が建設されるなど、西洋風の建築スタイルも取り入れられるようになりました。高宗が亡くなった後も、この宮殿は李王家の所有物として扱われるなど、その重要性が保たれていきました。

歴史的な背景

徳寿宮は元々1469年に存在していた南怡の一家の土地から始まり、その家が反乱に関与したとして没収され、1559年に王室に贈与される結果となりました。以後、その地には『延慶宮』が建設され、142年近くにわたり、李暲の母である仁粋大妃が居住しました。彼女のために、王室は『懿廟』を建て、その後も王家のための重要な場所となりました。

1592年の文禄の役の際、宣祖は一時、義州に避難し、翌年戻った際には周辺の宮殿が全て破損していたため、月山大君の居宅であった延慶宮を修復し、再び王の居所としました。これが後に「行宮」と名づけられ、さらなる宮殿の拡張が指示されることとなります。これにより、徳寿宮周辺の住民の権利も増え、経済的な発展が促されました。

また、1897年に高宗が王宮の再建を進める際には、重要な政治的イベントの舞台としても活用されました。韓国併合後も多くの資料と生活空間が関連しており、今でも多くの観光客を惹きつけています。例えば衛兵交代式などが行われ、神聖視された場所であり続けています。歴史的背景を持つ徳寿宮は、今日においてもその魅力と重要性を保ちながら、韓国の文化・歴史を語る重要なランドマークとして位置づけられています。

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