行宮

行宮（あんぐう）とは

行宮（あんぐう）とは、天皇や皇帝が、行幸の際や、政変などで通常の御所が使えなくなった場合に、一時的な宮殿として使用する施設のことです。他に、行在所（あんざいしょ）、御座所（ござしょ）、頓宮（とんぐう）とも呼ばれます。

日本における行宮の歴史

日本における行宮の初出は、神武天皇が東征の際に、吉備国に高島宮を建てて滞在したという記録です。また、神社によっては、行宮を持つものもあります。

主な日本の行宮

穴門豊浦宮：所在地は不明です。東京が日本の[[首都]]であると明確に定めた法令がないため、現在の皇居を一時的な宮殿とみなす考え方もあります。
飛鳥河辺行宮：飛鳥時代に存在した行宮です。
津村行宮：所在地は不明です。
若松行宮：所在地は不明です。

後醍醐天皇と南朝の行宮

南北朝時代には、後醍醐天皇や南朝の天皇たちが各地に行宮を設けました。

吉野行宮：奈良県吉野町と天川村にあり、金峯山寺や天河神社付近に跡地があります。後醍醐天皇が京都を脱出した後、南朝を開いた場所です。その後、後村上天皇、長慶天皇も一時的に使用しました。
天野行宮、金剛寺行宮：大阪府河内長野市にある金剛寺に設けられました。後村上天皇の行宮として使用されましたが、幕府軍によって焼失しました。
男山八幡行宮：石清水八幡宮に設けられました。後村上天皇が一時的に使用しましたが、兵糧攻めに遭い脱出しました。
賀名生行宮：奈良県五條市にあり、後村上天皇と後亀山天皇が使用しました。
観心寺行宮：大阪府河内長野市にある観心寺に設けられ、後村上天皇が一時的に使用しました。
住吉行宮：大阪市住吉区の住吉大社付近に設けられ、後村上天皇が崩御するまで使用されました。
船上山行宮：後醍醐天皇が船上山の戦いの後に設け、倒幕の綸旨を発した場所です。
栄山寺行宮：奈良県五條市にある栄山寺。後村上天皇、長慶天皇、後亀山天皇の行在所となりました。

神社における行宮

神社によっては、境内に行宮が設けられることがあります。

御霊神社堀江行宮
住吉大社大鳥大社宿院頓宮
難波神社行宮
坐摩神社行宮

海外の行宮

中国では、清朝の皇帝が各地に行宮を設けました。

西安
太原
熱河
奉天行宮
頤和園
圓明園

関連項目

離宮：皇居や王宮とは別に設けられた、避暑や静養のための宮殿。
大本営：陸海軍連合大演習などの際に、天皇が行幸する行在所。
* オルド：モンゴルやテュルク系の遊牧国家における、ハーンや后妃の宿営地。

行宮は、歴史上の重要な出来事や、権力者の移動と深く関わっています。各地の行宮を訪れることで、歴史の足跡をたどることができます。

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