徳山ダム

徳山ダムについて

徳山ダム（とくやまダム）は、岐阜県揖斐郡揖斐川町に位置するロックフィルダムで、木曽川水系の揖斐川の最上流部に建設されました。日本のダムの中でも最大規模を誇り、総貯水容量は6億6,000万 m³と、国内最大を誇っています。このダムは、主に洪水の防止や水供給の目的で建設され、特に東海地方の水がめとして重要な役割を果たしています。

ダム建設の背景

岐阜県の揖斐川流域は古くから水害に悩まされてきました。そのため、地域住民の間では長年にわたって治水対策が求められていました。ダムの必要性が強く認識されたのは、1959年に伊勢湾台風で致命的な被害を受けた際です。この大災害を受けてさらなる治水対策が強く求められるようになり、1957年からダム建設の計画が始まりました。最終的には2008年に完成し、51年に及ぶ長期のダム事業となりました。

ダムの構造と特徴

徳山ダムは中央土質遮水壁型のロックフィルダムで、堤高161mは日本で3番目の高さです。堤体積においても日本第2位であり、大規模ダムとしての仕様が関わるさまざまな課題を解決するための工夫がなされています。

このダムによって生み出された人造湖は「徳山湖」と名付けられ、地域の自然環境や観光にも寄与するようになりました。ダムの完成に併せて、治水や水供給の他にも水力発電の設置が計画されていましたが、時代の変化とともにその規模は縮小され、現在は一般水力発電として運用されています。

住民移転と激しい反対運動

ダムの建設に伴い、旧徳山村全体が水没することになり、住民466戸・522世帯が移転を余儀なくされました。この移転は、村の消滅という重大な問題を呼び起こし、そのために激しい反対運動が展開されました。特に住民たちは自らの故郷を失うことに対して強い抵抗を示し、補償交渉が長期化しました。

最終的には移転に関する合意が形成され、旧村民は岐阜市近郊の新しい集落へと移り住むことになりました。村の神社も移転され、地域の歴史は新たな形で受け継がれました。

ダムの効果と課題

徳山ダムは、完成後から始まった実際の利用において、揖斐川流域の洪水調節や水供給の確保に寄与しています。特に2014年の大雨では、ダムの貯水によって洪水の被害を大幅に軽減することができました。

一方、近年になってもダムに対する疑問の声は根強く、地域住民からも新たな環境問題や水源地としての機能への疑念が提起されています。また、水余りの問題や環境保護の観点から、ダム事業自体に対する見直しも進められています。

観光資源としての徳山ダム

最近では、徳山ダムが観光地としても注目され、特にシーズン中には多くの観光客が訪れるようになりました。周囲には自然豊かな景観が広がり、観光放流なども行われ、ダムの魅力を高めています。

アクセス情報

公共交通機関を利用する場合、JR大垣駅から養老鉄道を利用し、揖斐駅からタクシーで向かうことが一般的です。また、自動車で訪れる場合は、名神高速道路の大垣インターチェンジから国道を使ってアクセスすることができます。周囲はカーブが多いので運転には注意が必要です。

このように、徳山ダムは長い歴史と多くの課題を抱えるプロジェクトでありながら、地域住民や観光客にとって重要な存在となっています。

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