徳島県民の歌

徳島県民の歌：二つの旋律、一つの故郷

徳島県民の歌は、徳島県の歴史と県民の心を映す鏡のような存在です。実は、県民歌として同名の曲が二つ存在することをご存知でしょうか。それぞれの歌が生まれた背景には、時代の大きな転換期がありました。

1947年版：復興への願いを込めて

終戦直後の1947年、徳島新聞社とNHK徳島放送局が協力し、新しい時代への希望を込めた県民歌の歌詞を公募しました。作曲は、今川幹夫が担当。同年4月28日に発表されました。しかし、この歌は民間の主導によって制作されたため、正式な県民歌として採用されるには至りませんでした。幻の県民歌とも言えるこの曲は、今川音楽研究会が2003年に刊行した作品集に楽譜と歌詞が掲載され、その存在を知ることができます。

1971年版：新たな県民歌の誕生

戦後、時代が移り変わる中で、徳島県では「現代にふさわしい県民歌」を求める声が高まりました。1960年代の国民体育大会開催を機に多くの県が新しい県民歌を制定する中、徳島県も新たな県民歌の制定を目指しました。そこで、県は歌詞の公募を実施しますが、「該当作なし」という結果に。そこで白羽の矢が立ったのが、県出身の詩人・富士正晴と作曲家・三木稔でした。二人の手によって、1971年7月、現在の「徳島県民の歌」が制定されました。制定の意義は、「県民が誇りをもって明るく気軽に愛唱できる県民歌をつくり、郷土愛意識の高揚を図る」こと。まさに、新しい時代の徳島県を象徴する歌として誕生したのです。

ビクター音楽産業（現JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント）が制作したソノシートには、立川澄人の歌声が収録されています。この歌の特徴は、1番と3番で繰り返される「さわやかさ」というフレーズ。そして、スダチの香りと鳴門の渦潮を讃える1番の歌詞は、徳島県の魅力を余すところなく伝えています。

二つの県民歌が語るもの

二つの「徳島県民の歌」は、それぞれ異なる時代背景を持ちながらも、徳島県民の故郷を愛する気持ちを表現しています。1947年版は、戦後の復興への願いを込めた歌であり、1971年版は、新しい時代への希望と郷土愛を象徴する歌と言えるでしょう。時代を超えて歌い継がれる県民歌は、徳島県の歴史と文化を未来へと繋ぐ大切な架け橋なのです。

徳島県民の歌 - 徳島県

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