徳川いれずみ師 責め地獄

映画「徳川いれずみ師 責め地獄」の概要

『徳川いれずみ師 責め地獄』は、1969年に公開された日本の成人映画で、石井輝男監督が手掛けた異常性愛をテーマにした作品です。この映画は、江戸時代を舞台に、兄弟弟子の二人の刺青師が美しい女性の肌に彫った刺青を通じて名誉と腕を競い合う様子を描いています。作品の内容は極めて過激で、串刺しや逆さ吊りなど、多彩な責めの手法が展開されます。

その内容の過激さから、撮影中に主演女優が行方不明になったり、現場に混乱が生じたりと、いわく付きの作品となっています。併映作には、菅原文太主演の『懲役三兄弟』があり、観客へ衝撃を与えました。

あらすじ

物語は、徳川時代の苛酷な刑罰の象徴として並ぶ無数の墓石から始まります。一人の女性、由美は過去の因縁に囚われ、惨状に苦しむ男と女たちの無念を抱えています。彼女は、借金返済のために与力の鮫島と結びつき、大黒屋という恐ろしい売春宿で奉公することに決まります。しかし、その宿は刺青女たちが集う関所で、一度入ると抜け出すことはできません。由美は、そこから逃れようと奮闘しますが、過去の因縁が彼女を追い詰めていきます。

製作経緯

本作は、當時の東映企画製作本部長、岡田茂の発案によってスタートしました。岡田の指示で、脚本を手掛けた掛礼昌裕は、石井輝男監督とともに作品を構築しました。石井はその独自の視点から、作品内のシーンを再構築し、物語に深みを与えました。その中でも特に際立つのは、過去と現在を行き来する構成です。

撮影が進む中で、主演の由美てる子が途中で失踪し、片山由美子が急遽代役に抜擢されました。彼女は撮影当初には脇役として出演する予定だったものの、突如として主役に任命され、過酷なシーンに挑むことになりました。

助監督の批判と評価

撮影中には、石井監督の厳しい指導に対して助監督たちが不満を抱き、京撮の掲示板に声明文を掲載する事態に発展しました。このような騒動は、朝日新聞などのメディアに注目され、映画の内容だけでなく製作現場の裏側もクローズアップされることとなりました。

映画としては高い評価を受けず、興行成績も振るわなかったものの、後のカルト映画としての評価が見直されることになります。特に、石井輝男のSM映画は外国でも注目され、日本の伝統的な文化とエロティシズムが融合した作品として名を馳せました。

桂千穂や杉作J太郎などの映画評論家が本作を絶賛し、特に海外ではその独自性や表現力が認められています。特に、異常性愛の視点が刺激的であると評され、60年代のサイケデリックな文化とも重ね合わせられることが多いです。

結論

『徳川いれずみ師 責め地獄』は、その後の映画界に多くの影響を与えた作品であり、製作過程における混乱や事件も相まって、特異な地位を確立しています。アクシデントの多い製作ながら、その中から生まれた作品は観客に強い印象を残し、時代を超えて語り継がれることとなりました。

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