徳川宜子

徳川宜子：建築家としてのキャリアと紀州徳川家の継承

徳川宜子氏は、1956年生まれの日本の建築家であり、名門紀州徳川家の第19代当主です。皇室とのつながりも深く、第125代天皇明仁陛下とはいとこにあたります。

幼少期と建築への目覚め

東京都出身の徳川氏は、紀州徳川家第18代当主・徳川剛氏と宝子氏の長女として誕生しました。両親は氏が中学生になる前の1965年に離婚しています。幼少期から建築への関心を持ち、その才能を開花させていくことになります。

教育とキャリア

1977年に東洋英和女学院短期大学を卒業後、文化学院で建築を学び、1981年に卒業。同年、大手建設会社である大成建設株式会社に入社しました。企業での経験を経て、1985年には同僚の石橋利彦氏と共に株式会社石橋徳川建築設計所を設立し、独立を果たします。

その後も建築家としての道を歩み続け、1988年には東京建築士会評議員に就任、1992年には東京YMCAデザイン研究所講師を務めるなど、建築界での地位を確立していきます。

数々の受賞歴

徳川氏の建築家としての高い能力は、数々の受賞歴からも明らかです。1977年の枠組壁工法住宅設計競技1等を皮切りに、読売住宅設計競技やINAXデザインコンテストなどで、幾度となく受賞を重ねています。これらの受賞は、徳川氏のデザインセンスと建築技術の高さを証明するものです。主な受賞歴は以下の通りです。

1977年：枠組壁工法住宅設計競技 1等
1981年：東京理科大学100周年記念図書館設計競技 佳作
1981年：第8回日新工業建築設計競技 1等
1981年：第4回読売住宅設計競技 佳作
1982年：第5回読売住宅設計競技 3等
1985年：第1回久保田施工例コンテスト 1等
1985年：第1回住宅建築賞 受賞
1985年：関東甲信越建築士会ブロック会賞 受賞
1989年：第2回久保田施工例コンテスト 入賞
1990年：第1回畳スペースデザインコンテスト 金賞
1992年：第8回住宅建築賞 受賞
1995年：第18回INAXデザインコンテスト 金賞
1997年：第20回INAXデザインコンテスト 金賞
1998年：東京電力快適住宅コンテスト 優秀賞
1998年：銅を用いた建築コンクール 優秀賞
1998年：第4回松下電器健康な住まいコンテスト 優秀賞

紀州徳川家の後継

2009年の朝日新聞のインタビューでは、紀州徳川家の後継については自然の流れに任せるという発言をしています。この発言からは、家業の継承についても、自身の建築家としてのキャリアと同様に、冷静かつ客観的に対応していく姿勢が見て取れます。

著書

徳川氏は建築に関する知識や経験を共有するため、著書も出版しています。石橋利彦氏との共著として、『建築家のワークスペース─VectorWorks製図ガイド』と『相関のディテール』があります。これらの著書は、建築を学ぶ者にとって貴重な資料となるでしょう。

まとめ

徳川宜子氏は、建築家として高い評価を得るとともに、紀州徳川家の歴史と伝統を継承する立場にあります。建築への情熱と、家柄にまつわる重責を両立させながら、今後も建築界で活躍していくことが期待されます。その活動は、単なる建築家の枠を超え、日本の伝統と文化を未来へとつなぐ重要な役割を担っていると言えるでしょう。

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