徳川慶朝

徳川慶朝（とくがわ よしとも）

徳川慶朝は、1950年2月1日に生まれ、2017年9月25日に没した日本の写真家です。江戸幕府第15代将軍・徳川慶喜の曾孫にあたり、旧公爵徳川慶喜家の4代目当主を務めました。また、母方の祖父は会津藩主・松平容保であり、歴史に深く根ざした家系に生まれました。

幼少期は、伯母が高松宮妃であったことから、宮邸に招かれることも多く、皇室との交流もありました。1972年に成城大学経済学部を卒業後、本田技研工業グループの広告制作会社にカメラマンとして20年間勤務。その後、フリーの写真家として独立しました。

広告写真家時代は、自動車やバイクなどの撮影を主に行っていましたが、フリー転身後は、徳川家に伝わる歴史的建造物や遺跡、そして曾祖父・慶喜が撮影した写真の再発見と保存・整理に力を注ぎました。再発見された写真の中には、慶喜自身が撮影したものも含まれており、歴史的にも貴重な資料となっています。また、徳川慶喜が愛したであろうコーヒー豆を再現し、「将軍珈琲」として販売するなど、ユニークな活動も展開しました。

住居は、東京都町田市から晩年は水戸徳川家ゆかりの茨城県ひたちなか市に移り住みました。結婚歴があり、3人の子供をもうけましたが、離婚後は独身を貫き、養子を迎えなかったため、慶朝の死によって徳川慶喜家は断絶しました。

その他の活動

徳川慶朝は、写真家としての活動の傍ら、静岡文化芸術大学で非常勤講師を務めるなど、教育活動にも携わりました。また、エッセイ執筆にも意欲的に取り組み、徳川家の歴史や文化、自身の生活について綴った著書やエッセイを発表しました。

主な著作

『将軍が撮った明治-徳川慶喜公撮影写真集』（徳川慶喜撮影、徳川慶朝編） 朝日新聞社、1986年
『徳川慶喜家にようこそ-わが家に伝わる愛すべき「最後の将軍」の横顔』 文藝春秋、2003年
『徳川慶喜家の食卓』 文藝春秋、2005年
『徳川慶喜家カメラマン二代目』 角川新書、2007年

エッセイ

「今どきの德川慶喜家」（『国立劇場十月歌舞伎公演』所収）　 独立行政法人日本芸術文化振興会、2010年
「想い出の食卓　焼いた牛骨と玉ねぎ、トマト、果物、ワイン…3週間かけて作ったビーフシチューを母と」（『月刊新松戸』419号所収）　新松戸編集室、2014年5月

晩年

2017年9月25日、心筋梗塞のため茨城県水戸市の病院で亡くなりました。享年67歳でした。

系譜

徳川慶朝は、徳川慶喜の曾孫として、歴史と伝統を受け継ぎながらも、独自の視点で写真の世界を切り開いた人物でした。彼の活動は、徳川家の歴史を後世に伝える上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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